幽霊

あなたは言う
あのころの君はかわいかったと
みんなは言う
あのころの君は光輝いていたと

違うよ
それはかつて私だったもの
今はもういない私の幽霊

私はいつだって今にしかいない
今を見て
私を見て
幽霊は私ではない
私と幽霊はもはや別の存在
それなのに

あなたは言う
あのころの君の歌声はきれいだったと
みんなは言う
あのころの君の笑顔は愛らしかったと

違うよ
それは幽霊がしたこと
もう届かない色あせた過去

幽霊は私と違って
讃美歌を上手に歌えないし
下手くそな作り笑いばかりしていた
メイクだって笑ってしまうくらい拙くて
露出の多い服を自慢げに着ていた
それなのに

あなたは言う
みんなは言う
あのころの君は
あのころの君は……