教室

文字数 209文字

 飲み干せと命じる声は
 一人なのに大勢に聞こえた
 帰り支度を整えながら
 何センチ刻むかを考えていた

 将来のため
 いつかのため
 無責任な言葉たちが
 実りある未来を奪い去る

 贈られた一輪の花言葉
 調べるまでもなく知っていた
 机の縁にこぼれ落ちた花粉
 指ですくって口に含む

 今だけの辛抱
 もう少しの我慢
 慰めにならない言葉たちが
 輝かしい明日を台無しにする

「ねえ、教えて?」
 遥かなる銀の糸の向こうへ
 問いかけた声は揺らいだ
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