方舟
文字数 229文字
稲光
闇を裂いて轟いた雷鳴
窓外
降りしきる雨はやみそうもない
矩形
幽閉されたつがいたちは今日も
交尾
それくらいしかすることがない
「沈んだら浮かんでこられないよ」
あの日の言葉は的を射ていた
食い込む爪
汗の雫が背筋を滑り落ちた
常闇
絹を裂くような悲鳴
胎内
降り注ぐ赤はやみそうもない
狂気
奔出した黒が向かう先はいつも
生命
薄紙の安息は破られる理
「明けない夜はないんだよ」
あの日の言葉は的外れだった
引き抜かれる刃
幾千年の悪夢が今はじまった
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