人はいつか必ず死ぬという事実を、

文字数 226文字

『人はいつか必ず死ぬという事実を、
 幼い娘にどう教えるかに悩んでいた若い母親は、
 熟考の末、
 娘の目の前で塔の頂から飛び降りた。』

 柘榴をつまんで口に含む
 何処かで烏が鳴いている
 物言わぬ錆びたシェルター
 陽光を覆い隠す黄砂

『「人はいつか必ず死ぬなんて、
  知りたくなかった。」
  衝動に突き動かされて、
  孤児の少女は塔の頂から飛び降りた。』

  柘榴の実が腐り落ちる
  静寂が世界を領している
  シェルターで密やかに花は枯れる
  黄砂に横たわる骸の烏
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