魔法使いの踊り

文字数 351文字

 手続きの詳細が分からないよ
 無謀な独歩を死ぬほど悔いた
 善良な人々の目が続々と投射
 小児のように泣き喚きたかった
 魔法使いの彼にできるのは
 独自の踊りを踊ることだった

 十四のころから溜め込んできた
「なぜ俺だけが」っていう不公平感
 食べごろだからおあがりよ
 中二のころから熟成させてきた
「俺が神だ」っていう全能感
 歯糞まみれの口で食らえよ

 和解までの道筋が見えないよ
 普通への妥協を悔やんだら死ねた
 真っ当な人々の目が次々と投射
 小心者らしく泣き叫びたかった
 魔法使いの彼にできるのは
 独自の踊りを踊ることだった

 三十路を迎えても溜め込んでいる
「なぜお前だけが」っていう嫉妬心
 食べきれないからお裾分けするよ
 三十路を迎えたら棄てるつもりだった
「俺が神だ」っていう崇高な錯誤
 糞まみれの尻の穴で食らえよ
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