最初の村へ
文字数 865文字
★★★
「おー、ここ、ここ。懐かしいな」
元勇者魔王は転移の魔法に加えて隠匿の魔法も使い、村人たちに目撃されない状態で最初の村にやってきた。高度な隠匿の魔法によって、独り言も周りには聞こえないようになっている。
「ここの村って特になにもないんだよな。宿屋すらないから、いちいち城下町まで戻らなきゃいけなかったし」
ただ、道具屋はあるので、そこで薬草や毒消しを手に入れることはできる。
城下街周辺よりも出没する魔物が強く経験値も大きいので、序盤のレベリングに使った場所だ。
ただ、MPを回復する手段はなかったので、全回復には城下町まで戻らねばならなかった。あるいは城下町でMP回復薬を持参していくか。
通常はここでレベルを上げて、そのあと近くにある洞窟に挑むことになる。この洞窟を抜けると別のエリアへ行くことができる。
そこで洞窟の主の『トカゲ騎士』と戦わねばならない。
「というか、ある意味でこの村は重要な中継地点なんだから宿屋ぐらい作ればいいんだよな……ったく、あの王様の野郎は城下町のことしか考えてなかったからなぁ」
王都とそこに住む都民の支持さえあれば、とりあえず国は成立するものだ。
あとは、王城の宿屋組合の利権絡みもあったのだろう。
冒険中はそんなものかと思ったが、改めて昔のことを思いだすと、王や国が勇者のために十分なバックアップをしてくれたとは言い難い。王都から出てったら、ほとんど放置していたようなものだ。
「ったく、俺が苦労して冒険してたってのに……」
当時はレベリングが楽しくてあまり気にしていなかったが、国や役人の怠慢を感じざるをえない。
そんなふうに考えていると、ふたりの少年少女が村へやってきた。
(お、来たな第九十九代勇者……っていうか、いきなり女連れかよ! 俺なんかこの洞窟抜けて次の村で仲間にあうまで一人だったんだぞ! しかも、そいつ男だったし!)
嫉妬を覚えつつ、元勇者魔王は茂みに隠れた。
低レベルな勇者ではこちらの隠匿を見破ることはできないだろうが、念のためだ。
「おー、ここ、ここ。懐かしいな」
元勇者魔王は転移の魔法に加えて隠匿の魔法も使い、村人たちに目撃されない状態で最初の村にやってきた。高度な隠匿の魔法によって、独り言も周りには聞こえないようになっている。
「ここの村って特になにもないんだよな。宿屋すらないから、いちいち城下町まで戻らなきゃいけなかったし」
ただ、道具屋はあるので、そこで薬草や毒消しを手に入れることはできる。
城下街周辺よりも出没する魔物が強く経験値も大きいので、序盤のレベリングに使った場所だ。
ただ、MPを回復する手段はなかったので、全回復には城下町まで戻らねばならなかった。あるいは城下町でMP回復薬を持参していくか。
通常はここでレベルを上げて、そのあと近くにある洞窟に挑むことになる。この洞窟を抜けると別のエリアへ行くことができる。
そこで洞窟の主の『トカゲ騎士』と戦わねばならない。
「というか、ある意味でこの村は重要な中継地点なんだから宿屋ぐらい作ればいいんだよな……ったく、あの王様の野郎は城下町のことしか考えてなかったからなぁ」
王都とそこに住む都民の支持さえあれば、とりあえず国は成立するものだ。
あとは、王城の宿屋組合の利権絡みもあったのだろう。
冒険中はそんなものかと思ったが、改めて昔のことを思いだすと、王や国が勇者のために十分なバックアップをしてくれたとは言い難い。王都から出てったら、ほとんど放置していたようなものだ。
「ったく、俺が苦労して冒険してたってのに……」
当時はレベリングが楽しくてあまり気にしていなかったが、国や役人の怠慢を感じざるをえない。
そんなふうに考えていると、ふたりの少年少女が村へやってきた。
(お、来たな第九十九代勇者……っていうか、いきなり女連れかよ! 俺なんかこの洞窟抜けて次の村で仲間にあうまで一人だったんだぞ! しかも、そいつ男だったし!)
嫉妬を覚えつつ、元勇者魔王は茂みに隠れた。
低レベルな勇者ではこちらの隠匿を見破ることはできないだろうが、念のためだ。