魔王城十二階で休息

文字数 818文字

「うーん、やっぱり横になると疲れが取れるね~! これで準備はバッチリ!」
「魔力も完全回復しました~♪」
 十一階で宝箱を開けた勇者パーティは十二階のベッドでゆっくり休んでいた。
 最初は罠かと思ったが、どうやら本当にただのベッドだとわかると、二人一組になり代わりばんこに休むことにしたのだ。
 ベッドは四つ用意されていたが、さすがに寝ている間に襲撃されたらまずいので一応は警戒して休みをとった。
「まさか魔王城の、しかも魔王の間の手前でベッドで休めるたぁ、驚いたぜ!」
 状態異常からどうにか回復したアーグルも休んで四天王戦で受けた傷を癒した。
 元魔王勇者ルーファもかすり傷程度だが、横になった。
 戦闘は神経を使うので、横になって一旦、心身を休められることは大きい。回復アイテムで回復するのとは気分が違う。
 ついでにベッドの傍(かたわ)らには椅子とテーブル、食料の入った魔力冷蔵庫や魔導キッチンもあったが、さすがにそれの使用はやめておいた。
 一応、魔王城に来る前に食料(おにぎりとサンドイッチ)は持ってきていたので、休憩をとっている間に食べた。やはりルナリイの料理スキルは卓越していて美味だ。そして、なによりも家庭の味で胃袋を満たすことができて、心身共にリラックスできた。
「それにしても、十二階に勇者パーティのための休憩スペースを設置するとは……前代未聞であるな……あくまでも最高のコンディションで我らと戦おうということか……」
 ここまで心遣いをしてくるのは逆に不気味ですらある。
「でも、こうして休めたからよかったよねっ。それじゃあ、いよいよ魔王と対面だね! 話し合い、通じるかなぁ?」
「なんとか平和的な解決ができればいいのですが~」
「ああ、リュータたちとは戦いたくねぇがなぁ……。というか、本当にあいつが今回の魔王なのかぁ?」
 四人はそれぞれの戦闘準備を整えると、魔王城の最上階である十三階に向かうことにした。
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登場人物紹介

ルーファ。

元魔王。人間に転生して村で暮らしていたが、勇者に選ばれてしまう。


リイナ。

ルーファの幼なじみ。宿屋の娘。

冒険者だった父母から武術を学び、ルーファと共に冒険の旅に出る。


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