魔王の哄笑
文字数 586文字
★★★
「魔王様っ、勇者たちが洞窟へ向かうようです! 洞窟の魔物たちにはどのような指示をいたしましょうか?」
魔王城へ戻った元勇者魔王は玉座に座って休んでいたが、そこへ水晶を手にした側近がやってきた。
水晶には仲良く城下町を出て洞窟へ向かう元魔王勇者と宿屋の娘の姿が映っている。
「ちっ、イチャイチャっぷりを見せつけやがって……! これだから糞リア充は……」
といっても、勝手に覗いているので文句を言うのは筋違いであったが――彼女がいないまま終えた自分の人生を思い出して、ちょっとどころかかなり心が荒れ気味な元勇者魔王様であった。
「……全力で叩き潰せ」
「ぜ、全力でですか?」
据わった眼で指示をする魔王様の迫力に、側近はあとずさる。
「ああ。ここで勇者を亡きものにするぐらいの気迫をもってやれ! と伝えろ!」
「か、かしこまりました!」
闇の闘気を周囲に漂わせながら命じる元勇者魔王に、側近は震えながら頭を下げた。
(まぁ、俺が出向けばサクッと倒せちまうが……でも、俺が勇者時代に味わった苦労も知ってもらわないとな。……そして、最後に魔王城であのむかつく勇者を倒して、それまでの苦労を水の泡にしてやる!)
「ククク…………! クフフフ…………! クハハハハハハハハハハッ!」
すっかり闇落ちしつつある元勇者魔王は、魔王らしい見事な哄笑を上げるのだった。
「魔王様っ、勇者たちが洞窟へ向かうようです! 洞窟の魔物たちにはどのような指示をいたしましょうか?」
魔王城へ戻った元勇者魔王は玉座に座って休んでいたが、そこへ水晶を手にした側近がやってきた。
水晶には仲良く城下町を出て洞窟へ向かう元魔王勇者と宿屋の娘の姿が映っている。
「ちっ、イチャイチャっぷりを見せつけやがって……! これだから糞リア充は……」
といっても、勝手に覗いているので文句を言うのは筋違いであったが――彼女がいないまま終えた自分の人生を思い出して、ちょっとどころかかなり心が荒れ気味な元勇者魔王様であった。
「……全力で叩き潰せ」
「ぜ、全力でですか?」
据わった眼で指示をする魔王様の迫力に、側近はあとずさる。
「ああ。ここで勇者を亡きものにするぐらいの気迫をもってやれ! と伝えろ!」
「か、かしこまりました!」
闇の闘気を周囲に漂わせながら命じる元勇者魔王に、側近は震えながら頭を下げた。
(まぁ、俺が出向けばサクッと倒せちまうが……でも、俺が勇者時代に味わった苦労も知ってもらわないとな。……そして、最後に魔王城であのむかつく勇者を倒して、それまでの苦労を水の泡にしてやる!)
「ククク…………! クフフフ…………! クハハハハハハハハハハッ!」
すっかり闇落ちしつつある元勇者魔王は、魔王らしい見事な哄笑を上げるのだった。