3
文字数 718文字
愛する人の子供が欲しいなんて。
一度も思ったことはない。
煩わしいと思われるくらいなら、いらない。
あなたが望んだ結果。
私はあなたの愛し方を、忘れてしまった。
もうきっと、戻れない。
欲張った結果だと思う。
あなたは、受け入れなくてはならない。
「少し痩せた?」
よく待ち合わせている喫茶店の前で、私は娘にそんなことを言われた。私達は二週間ぶりに会う。
「そんなことないと思うけど」
文音 の艶のある髪。
真っ直ぐに伸びた長い足。
潤んだ瞳に長いまつ毛。
会う度大きくなる我が子に、私は驚く。
私の、唯一かけがえのないもの。
そして、いつもあの日の言葉を思い出す。
「大丈夫よ。わたしはパパの所に残るから」
店は仄暗い照明で天井が高く静かなクラシックが流れている。
いつも決まって、入って右奥の突き当たりの席。ここがいちばん落ち着く、と文音は言う。
ホットコーヒーとプリンアラモード、それからコーラフロートを注文した。文音はティラミスと迷っていたけれど、ママはプリンが好きだから、とプリンアラモードにすると言った。
「テスト。今日終わったの。それとね、来週旅行に行くの。健 くんと。もちろんパパには言ってないけど。友達と行くって言ってある」
コーラフロートのアイスクリームを少し溶かしながら、嬉しそうな文音の表情は、私を幸せにする。
そして少し、寂しくさせる。
文音の連絡があればいつでも、こうして会えることができるけれど。
寂しくなるようにしてしまったのは私。
「ママ。また遊びに行っても、いい?」
文音の笑った顔は、あの人を思い出させる。
それは私に、何かを問いかけて、響かせる。
何よりも大切な文音。
私はわたしのあるべき場所へ帰る。
帰るべき場所があると思えるのは、とても幸せだと、今は思う。
一度も思ったことはない。
煩わしいと思われるくらいなら、いらない。
あなたが望んだ結果。
私はあなたの愛し方を、忘れてしまった。
もうきっと、戻れない。
欲張った結果だと思う。
あなたは、受け入れなくてはならない。
「少し痩せた?」
よく待ち合わせている喫茶店の前で、私は娘にそんなことを言われた。私達は二週間ぶりに会う。
「そんなことないと思うけど」
真っ直ぐに伸びた長い足。
潤んだ瞳に長いまつ毛。
会う度大きくなる我が子に、私は驚く。
私の、唯一かけがえのないもの。
そして、いつもあの日の言葉を思い出す。
「大丈夫よ。わたしはパパの所に残るから」
店は仄暗い照明で天井が高く静かなクラシックが流れている。
いつも決まって、入って右奥の突き当たりの席。ここがいちばん落ち着く、と文音は言う。
ホットコーヒーとプリンアラモード、それからコーラフロートを注文した。文音はティラミスと迷っていたけれど、ママはプリンが好きだから、とプリンアラモードにすると言った。
「テスト。今日終わったの。それとね、来週旅行に行くの。
コーラフロートのアイスクリームを少し溶かしながら、嬉しそうな文音の表情は、私を幸せにする。
そして少し、寂しくさせる。
文音の連絡があればいつでも、こうして会えることができるけれど。
寂しくなるようにしてしまったのは私。
「ママ。また遊びに行っても、いい?」
文音の笑った顔は、あの人を思い出させる。
それは私に、何かを問いかけて、響かせる。
何よりも大切な文音。
私はわたしのあるべき場所へ帰る。
帰るべき場所があると思えるのは、とても幸せだと、今は思う。