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文字数 290文字
ここから見下ろす景色はきっと、有り触れている。
けれど、ひとりひとりに与えられた今、を、見ている。そう思うと、尊い。
両手を横に広げてみる。
ふんわりと風を、体全体で感じることができた。
目を閉じてみる。
空気が乾いていて、秋めいた匂いがする。
それから、濃い、ウィスキーの香り。
そしてあの日のケイトウ。
愛らしい文音 の横顔。
目を開けて空を見上げた。
まばらに見える星達。
近くて遠い。
いつか届くといい。
一歩、二歩。
もう少し歩くことができればいいのに。
そうすればもっと、風を感じられる。
それからは必ず、ばらばらになれるのに。
「百合乃 」
私は呼ばれたほうを見た。
それ以上、歩いてはいけないことを思った。
けれど、ひとりひとりに与えられた今、を、見ている。そう思うと、尊い。
両手を横に広げてみる。
ふんわりと風を、体全体で感じることができた。
目を閉じてみる。
空気が乾いていて、秋めいた匂いがする。
それから、濃い、ウィスキーの香り。
そしてあの日のケイトウ。
愛らしい
目を開けて空を見上げた。
まばらに見える星達。
近くて遠い。
いつか届くといい。
一歩、二歩。
もう少し歩くことができればいいのに。
そうすればもっと、風を感じられる。
それからは必ず、ばらばらになれるのに。
「
私は呼ばれたほうを見た。
それ以上、歩いてはいけないことを思った。