文字数 630文字

「今日はどこの?」
隣の席の机に広がっているのは、真ん中にとろっとした玉子が乗ったカルボナーラ。それからチルドカップのカフェオレ。
「一番近くのとこのです。このカルボナーラ、量、すごくないですか?」
総務の(のぞみ)ちゃんのお昼は、いつもコンビニ。何ヶ所か近くにあるので、その日の気分で場所は選んでいるようだけど。
私は今、月の中で最も忙しい時期。私の仕事は毎月決まった事を繰り返す。
今日のお昼休みは、今朝簡単なお弁当作ってきた。食べながら私は、数字を見続けている。
「百合さん。今夜、中野(なかの)君とまた飲みに行っていいですか?」
中野君。シュークリームとエクレア持ってきた爽やかな営業マン。
友坂(ともさか)さんは?」
「予定、あるみたいで」
少し陰った表情で、希ちゃんはカフェオレを飲みながらそう言った。
友坂さんは中野君と同じ営業の、希ちゃんの特別な人。そして、進展のない相手。
「イベントあるけど、私は変わらずカウンターに居るだけだから。待ってるよ」
今夜はイベントがある。
翔平さんはきっと飲み過ぎる。調子に乗って。ピザ屋の男の子達に任せなくてはならない。
希ちゃんと中野君と、早く何処かに飲みに出かけたいけれど。上手く物事が進めばいいけれど。
それは今進めている数字の入力具合にもよるかもしれない。

何かも面倒くさくなってきた。

今日なんて早く終わればいい。

いつだってどこにいたって、何かに追われていなくてはならない。

100%の時間なんてあるのだろうか。

時間はすぐに過ぎて、またすぐ私は、零になってしまう。

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