第2話 【起動】
文字数 3,945文字
長いタイトルを付けたいが‥‥、取り敢えずは【起動】
「‥‥あのぅ、どうしてお姐さんが乗らないのですか。」
「どうしてか。それは、私のウエストが六十センチだから。」
「‥‥ウエスト。」
コーコは、二十歳半ばを過ぎたリツコのウエストを目測して心の中で呟いた。
『‥‥六十以上は、あると思うけど。』
「はい、これがパイロットスーツ。着替えて。」
リツコが用意した着衣を手で広げてコーコは、絶句した。過激な水着よりも過激だった。
「‥‥えええぇ、これって。」
コーコは、露出大きめの水着のようなパイロットスーツを着用して恥ずかしさに溜息を零し呟いた。
「‥‥はぁ、ムダ毛処理していてよかった。」
コーコが今まで着たことがない程に、V字カットだった。恥ずかしさを堪えて更衣室から戻るコーコに、リツコは感心した。
「あら、着れたのね。」
後日知ることになるが、その水着の形状はドクター達の趣味から派生したものだった。操作に必要不可欠な形でなかった。その事実を知った時、コーコは怒りよりも呆れて高齢の男達の奔放さに溜息をついて呟いたのだった。
「‥‥はぁ、男って。幾つになっても、バカ。」
研究室のコントロールルームの向こうに円形状のシミュレータが設置されていた。大型のトレーラーに乗られる程に大きかった。階段を上った先にハッチがあった。
「‥‥宇宙船のようですね。」
コーコは、不安になり感想を述べた。入口まで案内したリツコは、さらりと言った。
「宇宙でも使えるそうよ。宇宙線も遮断している完全密閉式だから。」
「‥‥はぁ、」
コーコは、よけい心配になった。リツコの指示で内部に入った。
「その足踏みのような台に足を乗せて、立てるでしょう。」
内部は、球体になっていた。中央に立ったまま乗る構造の操縦台だった。背凭れから伸びる四本の可動式フレームの先端に設置されている手袋に手を入れ、足はサンダルのような台に固定した。背凭れの真ん中に付けられたコルセット形状のベルトをウエストに填めようとしてコーコは、少しお腹を窄めた。コーコは、堪らず呟いていた。
「‥‥うっ、細いっ。」
「おおっ‥‥、」
コントロール室でどよめき歓声が上がり口々に褒め称えた。
「初めて乗れる子を見た。」
「嬢ちゃんの為に作られた操縦席のようだ。」
「‥‥そぅ、ですか。」
コーコは、力なくそう言ったものの不安で嬉しくなかった。心の中で悪態をついた。
『どうして、こんなにベルトが細いのよ。』
「ハッチを締めるわよ。気持ちを楽に。」
リツコは、外からハッチを納めた。
「内部モニターを入れるぞ。」
ドクターの指示で、円球のコックピット内に仮想景色が映し出された。次の瞬間、コーコは足元の高さに小さく悲鳴を上げた。
「なんだ。どうした。」
コーコの取り乱しように開発者達が気色ばんだ。
「‥‥わたし、高いのが苦手です。」
泣きそうな声でコーコは訴えた。コントロール室の監視モニターを見るドクター達は口々に勝手なことを言った。
「十メートルもないぞ。」
「‥‥無理っ、です。」
「下を見なければいい。」
「‥‥だから、嫌ですっ。」
コーコは、足を震わせて訴えた。取り乱す様子に四人のドクター達も状況が分かってきた。
「下半分のモニターを切るか。」
「それでは、動かしにくいだろう。」
「嬢ちゃんが怖がっていては、どっちみち動かん。」
「しかしな‥‥。この全方位モニターは、我々が開発した画期的なシステムなのにな。」
四人のドクター達は、結論の出ない議論に落ち込んでいた。
「‥‥早くっ、早くして下さいょ。」
足を震わせるコーコは、苛立ち半ベソをかいて叫んだ。結局は、円球の下半分を消したままになった。足元の画像が消えても、背もたれから伸びるフレームの先端に足を乗せていることで浮遊しているような不安定感が拭えなかった。
「‥‥落ちないよね。」
コーコは、そう自分に言い聞かせた。
操作は、自分の手足の動きがそのままロボットに伝わるシンプルな構造だった。手を動かすと、微かに反動が返りモニターに映るトカゲの手がコーコの腕の動きに連動していた。足を動かすと、振動で揺れ移動しているのが分かった。
「‥‥えっ、ええっ。何で揺れるの。」
「おう、凄いシミュレータだろう。本体の振動が直接伝わって乗り手に臨場感を与える。儂らの自慢のシステムだ。米国にもこれ程のものはないぞ。メイド・イン・我が国産だ。」
「‥‥わたし、車酔いします。」
「運転していれば、酔わないだろう。」
ドクター達の安易な希望的観測は、直ぐに裏切られた。コーコは、浮遊感と予測できない振動に乗り物酔いが一気にきた。
「き・も・ち‥‥、悪いっ。」
そう言ってコーコは、堪らずに嘔吐していた。ぶちまけた吐瀉物の掃除で休憩が入った。コーコは、酔い止めを処方され蒼褪めた顔で再度乗り込んだ。
「‥‥最悪。」
その日は、基本動作だけで終始した。説明を受けながらコーコは、体を動かした。
「なかなか筋がいい。」
「‥‥はぁ、」
コーコは、褒められても嬉しくなかった。人前で吐いてしまった乙女心が半分折れていた。シミュレータ内は、空調が効いていたが、コーコは冷汗をかいて水着のようなスーツが泳いだ後のように濡れて肌に吸い付いた。一時間のお試しが終わり、シャワーを使い身支度を整え溜息をついた。
「こんなバイト、初めて‥‥。」
時間を使って気持ちを落ち着かせた。
スタッフルームでリツコが飲み物とケーキを用意してくれていた。
「ご苦労様。これ、今日のお給金。交通費も入っているから。それから、食事は此方の社員食堂を使うといいわ。全て無料よ。」
「はぁ‥‥、有難う御座います。でも、どうしてお金がいらないのですか。」
「特殊社団公益法人だから。(嘘でしょう‥‥)」
リツコが、意味ありげな笑みを浮かべ尋ねた。
「どう、続きそう。」
「はぃ‥‥、なんとか、頑張ります。」
「有難う。オペレーターが見つかって、これで計画が進められるわ。」
リツコの言葉に深い意味が隠されていたのをその時のコーコは気付かなかった。
「あのぅ、スマホはここで使えないのですか。」
「この研究所一帯にジャミングのようなものを流しているの。このケータイを明日から使って。ここ専用だから。それから、ここの身分証と‥‥。」
リツコは、用意した品一式を袋に入れて渡した。
「それから、バイトの内容は、誰にも言わないでほしいの。家族にも。」
念を押されなくても、誰にも自慢できるバイトでないのをコーコは、身を持って教えられていた。
『人前で吐いたなんて、言えないわ。』
心身共に疲れ果てたコーコは、どの様に家まで帰ったか憶えていなかった。夕方近くからベッドで眠ってしまった。
高校生になってから夕食は、母と交代制になっていた。残業も無いそこそこの会社で管理職の立場にある母は、時間も余裕もあった。しかし、娘の将来を見据えて家事の分担を強要していた。
「‥‥お姉ちゃん。八時だよ。」
妹のサイコの静かな声にコーコは、飛び起きた。
「既に、全員集合。」
その妹の言葉に眠気が吹っ飛んだ。ドァの隙間越しに冷静なサイコの顔が苛立たせた。
「ええっ、‥‥なんで、起こさないのよ。」
「わたしは、今帰宅したばかり。」
中二のサイコは、何時だって冷静だった。既にコーコより背が高くスタイルが良かった。その上に他校にまで噂になる美形だった。学業も塾に行かないのに学年で上位の成績を取っていた。
コーコは、居間に駆け込んだ。母は帰宅してソファでヘッドホンを付け酒を飲んで寛いでいた。亡き父が拘って制作した形見のステレオで掛けているレコードは、母のお気に入りのワルキューレに違いなかった。涼し気な眼差しでコーコを一瞥した。妹と性格も容姿もよく似た態度に、コーコの怒りが沸点を越えて振り切らせた。
「‥‥声を掛けてよ。」
「怒りながら料理はしないでね。不味くなるから。」
母が静かに言った。コーコは、怒りに任せて速攻時短夕食に取り掛かった。
「‥‥今なら人間でも解体してやるっ。」
コーコは、病死の父似だった。幼い頃の朧げな記憶しか残っていなかったが、優しく暖かな御日様のような匂いがする父だった。今は、キッチンの壁に笑顔の写真が額装され掛けられていた。コーコは、丸顔で愛嬌のある父に似た顔が気に入っていた。母や妹のように冷たく見える美人よりも。
「あら、急いだ割には良く出来ているわ。」
「それは、どうも、ありがとう。」
コーコは、料理を作りながら落ち着きを取り戻していた。料理の得意な母は、おべっかも嘘も言えない性格なのを知っていた。
「今日、新しいバイトに行ったの。」
母は、無関心そうに見せて娘二人の行動に目を行き届かせる卒なさがあった。
「どう。」
「そうね。何か問題が起こらないのを祈っていてよ。」
その言葉は、コーコの本心だった。トラブル続きで転々とするバイト運の悪さを知っていた母と妹は、同じ顔で同じ表情を向けた。
今年三十六歳になる母は、娘二人があるように見えない若さだった。大学生で結婚してコーコを産んだこともあったが、十歳は若く見えた。その上にスタイルもよく体形が崩れていなかった。妹のサイコと並んで出掛けると、知らない人は、姉妹と見間違った。
「何とかなるかな‥‥、まぁ、突然終わっても未練ないし。」
「‥‥あのぅ、どうしてお姐さんが乗らないのですか。」
「どうしてか。それは、私のウエストが六十センチだから。」
「‥‥ウエスト。」
コーコは、二十歳半ばを過ぎたリツコのウエストを目測して心の中で呟いた。
『‥‥六十以上は、あると思うけど。』
「はい、これがパイロットスーツ。着替えて。」
リツコが用意した着衣を手で広げてコーコは、絶句した。過激な水着よりも過激だった。
「‥‥えええぇ、これって。」
コーコは、露出大きめの水着のようなパイロットスーツを着用して恥ずかしさに溜息を零し呟いた。
「‥‥はぁ、ムダ毛処理していてよかった。」
コーコが今まで着たことがない程に、V字カットだった。恥ずかしさを堪えて更衣室から戻るコーコに、リツコは感心した。
「あら、着れたのね。」
後日知ることになるが、その水着の形状はドクター達の趣味から派生したものだった。操作に必要不可欠な形でなかった。その事実を知った時、コーコは怒りよりも呆れて高齢の男達の奔放さに溜息をついて呟いたのだった。
「‥‥はぁ、男って。幾つになっても、バカ。」
研究室のコントロールルームの向こうに円形状のシミュレータが設置されていた。大型のトレーラーに乗られる程に大きかった。階段を上った先にハッチがあった。
「‥‥宇宙船のようですね。」
コーコは、不安になり感想を述べた。入口まで案内したリツコは、さらりと言った。
「宇宙でも使えるそうよ。宇宙線も遮断している完全密閉式だから。」
「‥‥はぁ、」
コーコは、よけい心配になった。リツコの指示で内部に入った。
「その足踏みのような台に足を乗せて、立てるでしょう。」
内部は、球体になっていた。中央に立ったまま乗る構造の操縦台だった。背凭れから伸びる四本の可動式フレームの先端に設置されている手袋に手を入れ、足はサンダルのような台に固定した。背凭れの真ん中に付けられたコルセット形状のベルトをウエストに填めようとしてコーコは、少しお腹を窄めた。コーコは、堪らず呟いていた。
「‥‥うっ、細いっ。」
「おおっ‥‥、」
コントロール室でどよめき歓声が上がり口々に褒め称えた。
「初めて乗れる子を見た。」
「嬢ちゃんの為に作られた操縦席のようだ。」
「‥‥そぅ、ですか。」
コーコは、力なくそう言ったものの不安で嬉しくなかった。心の中で悪態をついた。
『どうして、こんなにベルトが細いのよ。』
「ハッチを締めるわよ。気持ちを楽に。」
リツコは、外からハッチを納めた。
「内部モニターを入れるぞ。」
ドクターの指示で、円球のコックピット内に仮想景色が映し出された。次の瞬間、コーコは足元の高さに小さく悲鳴を上げた。
「なんだ。どうした。」
コーコの取り乱しように開発者達が気色ばんだ。
「‥‥わたし、高いのが苦手です。」
泣きそうな声でコーコは訴えた。コントロール室の監視モニターを見るドクター達は口々に勝手なことを言った。
「十メートルもないぞ。」
「‥‥無理っ、です。」
「下を見なければいい。」
「‥‥だから、嫌ですっ。」
コーコは、足を震わせて訴えた。取り乱す様子に四人のドクター達も状況が分かってきた。
「下半分のモニターを切るか。」
「それでは、動かしにくいだろう。」
「嬢ちゃんが怖がっていては、どっちみち動かん。」
「しかしな‥‥。この全方位モニターは、我々が開発した画期的なシステムなのにな。」
四人のドクター達は、結論の出ない議論に落ち込んでいた。
「‥‥早くっ、早くして下さいょ。」
足を震わせるコーコは、苛立ち半ベソをかいて叫んだ。結局は、円球の下半分を消したままになった。足元の画像が消えても、背もたれから伸びるフレームの先端に足を乗せていることで浮遊しているような不安定感が拭えなかった。
「‥‥落ちないよね。」
コーコは、そう自分に言い聞かせた。
操作は、自分の手足の動きがそのままロボットに伝わるシンプルな構造だった。手を動かすと、微かに反動が返りモニターに映るトカゲの手がコーコの腕の動きに連動していた。足を動かすと、振動で揺れ移動しているのが分かった。
「‥‥えっ、ええっ。何で揺れるの。」
「おう、凄いシミュレータだろう。本体の振動が直接伝わって乗り手に臨場感を与える。儂らの自慢のシステムだ。米国にもこれ程のものはないぞ。メイド・イン・我が国産だ。」
「‥‥わたし、車酔いします。」
「運転していれば、酔わないだろう。」
ドクター達の安易な希望的観測は、直ぐに裏切られた。コーコは、浮遊感と予測できない振動に乗り物酔いが一気にきた。
「き・も・ち‥‥、悪いっ。」
そう言ってコーコは、堪らずに嘔吐していた。ぶちまけた吐瀉物の掃除で休憩が入った。コーコは、酔い止めを処方され蒼褪めた顔で再度乗り込んだ。
「‥‥最悪。」
その日は、基本動作だけで終始した。説明を受けながらコーコは、体を動かした。
「なかなか筋がいい。」
「‥‥はぁ、」
コーコは、褒められても嬉しくなかった。人前で吐いてしまった乙女心が半分折れていた。シミュレータ内は、空調が効いていたが、コーコは冷汗をかいて水着のようなスーツが泳いだ後のように濡れて肌に吸い付いた。一時間のお試しが終わり、シャワーを使い身支度を整え溜息をついた。
「こんなバイト、初めて‥‥。」
時間を使って気持ちを落ち着かせた。
スタッフルームでリツコが飲み物とケーキを用意してくれていた。
「ご苦労様。これ、今日のお給金。交通費も入っているから。それから、食事は此方の社員食堂を使うといいわ。全て無料よ。」
「はぁ‥‥、有難う御座います。でも、どうしてお金がいらないのですか。」
「特殊社団公益法人だから。(嘘でしょう‥‥)」
リツコが、意味ありげな笑みを浮かべ尋ねた。
「どう、続きそう。」
「はぃ‥‥、なんとか、頑張ります。」
「有難う。オペレーターが見つかって、これで計画が進められるわ。」
リツコの言葉に深い意味が隠されていたのをその時のコーコは気付かなかった。
「あのぅ、スマホはここで使えないのですか。」
「この研究所一帯にジャミングのようなものを流しているの。このケータイを明日から使って。ここ専用だから。それから、ここの身分証と‥‥。」
リツコは、用意した品一式を袋に入れて渡した。
「それから、バイトの内容は、誰にも言わないでほしいの。家族にも。」
念を押されなくても、誰にも自慢できるバイトでないのをコーコは、身を持って教えられていた。
『人前で吐いたなんて、言えないわ。』
心身共に疲れ果てたコーコは、どの様に家まで帰ったか憶えていなかった。夕方近くからベッドで眠ってしまった。
高校生になってから夕食は、母と交代制になっていた。残業も無いそこそこの会社で管理職の立場にある母は、時間も余裕もあった。しかし、娘の将来を見据えて家事の分担を強要していた。
「‥‥お姉ちゃん。八時だよ。」
妹のサイコの静かな声にコーコは、飛び起きた。
「既に、全員集合。」
その妹の言葉に眠気が吹っ飛んだ。ドァの隙間越しに冷静なサイコの顔が苛立たせた。
「ええっ、‥‥なんで、起こさないのよ。」
「わたしは、今帰宅したばかり。」
中二のサイコは、何時だって冷静だった。既にコーコより背が高くスタイルが良かった。その上に他校にまで噂になる美形だった。学業も塾に行かないのに学年で上位の成績を取っていた。
コーコは、居間に駆け込んだ。母は帰宅してソファでヘッドホンを付け酒を飲んで寛いでいた。亡き父が拘って制作した形見のステレオで掛けているレコードは、母のお気に入りのワルキューレに違いなかった。涼し気な眼差しでコーコを一瞥した。妹と性格も容姿もよく似た態度に、コーコの怒りが沸点を越えて振り切らせた。
「‥‥声を掛けてよ。」
「怒りながら料理はしないでね。不味くなるから。」
母が静かに言った。コーコは、怒りに任せて速攻時短夕食に取り掛かった。
「‥‥今なら人間でも解体してやるっ。」
コーコは、病死の父似だった。幼い頃の朧げな記憶しか残っていなかったが、優しく暖かな御日様のような匂いがする父だった。今は、キッチンの壁に笑顔の写真が額装され掛けられていた。コーコは、丸顔で愛嬌のある父に似た顔が気に入っていた。母や妹のように冷たく見える美人よりも。
「あら、急いだ割には良く出来ているわ。」
「それは、どうも、ありがとう。」
コーコは、料理を作りながら落ち着きを取り戻していた。料理の得意な母は、おべっかも嘘も言えない性格なのを知っていた。
「今日、新しいバイトに行ったの。」
母は、無関心そうに見せて娘二人の行動に目を行き届かせる卒なさがあった。
「どう。」
「そうね。何か問題が起こらないのを祈っていてよ。」
その言葉は、コーコの本心だった。トラブル続きで転々とするバイト運の悪さを知っていた母と妹は、同じ顔で同じ表情を向けた。
今年三十六歳になる母は、娘二人があるように見えない若さだった。大学生で結婚してコーコを産んだこともあったが、十歳は若く見えた。その上にスタイルもよく体形が崩れていなかった。妹のサイコと並んで出掛けると、知らない人は、姉妹と見間違った。
「何とかなるかな‥‥、まぁ、突然終わっても未練ないし。」