第11話
文字数 412文字
桜舞い落ちる暖かい春の日。
京都の町が見渡せる高台に……。
男の人が身を隠すようにして、倒れていた。
え、ひとが倒れてる！
きゅ、救急車……
大丈夫……
大したことないから……
でも、血が……
……すぐ、治るよ
……そうなの……？でも……。
……じゃ、じゃあ紗奈、消毒してあげる！
ほっとくと、ばい菌はいっちゃうから！
消毒……？
うん、ちょっと待っててね
ガサゴソと自分の荷物をあさった。
はやく、傷の手当てをしてあげたい……。
動いちゃだめだよー
ハンカチでちょんちょんと腕の血を拭く。
そして水をかけ、消毒し、ガーゼでおさえつけると、
私は包帯を巻き始めた。
う、うーん……うまく巻けないよ～……
仕上がりは、ぼこぼこのゆるんゆるんだった。
ふふっと笑うお兄さん。
大丈夫だよこれで。
……ありがとう
う、うん……
そう言って頭をなでる
お兄さんの手はあたたかく、優しかった。
君、名前は……？
さな！ほしざきさなだよ！
お兄さんの名前は？
……俺……？
俺は……”カナト”だよ……
