第7話
文字数 608文字
うーんいくら僕でも
僕以外の記憶は、なにかきっかけでもない限り、取り戻せないよ。
……そう、なの……？
うん。
うーん……
なんか紗奈ちゃんの大事そうな記憶を持ってる物、ないかな……
大事そうな記憶……？
うん、なんか思い当たるものない？
すごく違和感のあるものとか、場所とか。
……ん……
ある、かも……
そう言うと、私は、ずっと気になっていたガラス細工をラビにみせた。
これ、なんだけど……
……何も思い出せないんだけど、
どうしてなのか全然わからないんだけど……
なんだか、これ、すごく気になるの。
ああ、なるほど……ね。
分かった、まずはそれから記憶を引き出してみるよ。
うん……
そんな感じで気になるものを集め、気になる場所に行き、
多分すべてではないけれど、いままでひどくかけていたものが、みつかったような気がした。
……カナトさん……
……紗奈ちゃんの記憶を奪ったやつはさ、
相当な術者だと思うんだけど
うん……
紗奈ちゃんに違和感が複数あったのは、
多分紗奈ちゃん、無意識にガードしてたんじゃないかな。
記憶を奪われないように
ガード……
（確かに記憶を奪われたくないって思ってたけど……）
あはっ
紗奈ちゃん、ただの人間にしてはがんばったね
……
ノーガードだったらこのまま記憶が戻らず、
普通に生活してたかもしれないからね。
僕もここにはこれなかったかもしれないし
……そうなんだ……
（記憶、取り戻せてよかった……。
ずっとなんだかわけが分からなくて、辛かったから……）
