第39話
文字数 1,546文字
気が付くと私は、シュウト君の部屋のソファの上で寝かされていた。
そしてそこには、ベッドの上で眠るカナトさんと床の上で眠っているシュウトくんの姿もあった。
そこにカチャリとドアの開く音。
部屋に入ってきた人物は……銀髪の白フードパトローラーだった。
最も、部屋に入ってきた彼は、白フード姿ではなかったけれど……。
銀髪の彼はふっとこちらの方をみた。
私は銀髪パトローラーを警戒し、思わず体がこわばる……。
銀髪のパトローラーは意外にも
悲しそうな瞳でこちらをみてきた。
……突然、前任が、歪みをもろにうけて亜空間に引きずり込まれた理由を、
俺なりに調べてみたんだ。
俺は前任がいなくなったから、代わりにと派遣されてきただけで
何も聞かされていなかった。
そしたら、元々の発端は星崎さん……。君だったんだよ……
……。
パトローラーは”パラレル間の異変を、本来の姿に戻すこと”にしか関われない。
極端な話、目の前の人物が死にそうでも助けられない。
だから前任パトローラーは、
パラレル間の異変である”パラレルの成瀬律がこの世界の君を助けようとしていたこと”を知っていて、みてみぬふりをし、
世界にとって致命的な歪みをその体にひきうけた。
だからパトローラーの力が弱まってしまった瞬間、亜空間に引きずり込まれたんだ。
……おい、そういう言い方はやめろよ……。
紗奈はパトローラーのことなんて全然しらねーんだから。
好きになるのなんて止められるもんじゃねーし、
誰だって死ぬのを回避できるんだったらそうするだろ。
パトローラーの力で簡単に記憶を消したり……。
紗奈はおもちゃじゃねーんだぞ……
……。
別に……おもちゃだなんて、思ってるわけじゃない……
ただ、前任の気持ちも……パトローラーの気持ちも……知ってもらいたかっただけだ……。
前任は……前任の立場の中で、必死に君を守ろうとしていたんだよ。星崎さん……。
あまり歪みが大きくなると、君自身だって、危なかったんだから……
私は……体に全く力が入らなくなり、床にへたりこんだ。
そういうとパトローラーさんは部屋から出ていった。
……パトローラーさんの表情は……少し苦しそうだった。