稲荷山神社
文字数 1,265文字
－PM8時30分－
《稲荷山神社》
さあ、着いたわよ！
ここが稲荷山神社の入り口ね！
うわぁ···
·····うぅ
(ね、眠い··！)
これは···まるで
カマイ◯◯の夜だよね··
カマイタチだと？
あまりその名を夜に出すなよオーマ
·········
(伏せ字にした意味を分かって欲しい)
···カマイ◯◯の名を夜に話すとダメなのです？
もう既に百鬼夜行が始まっている時間だからな、闇に紛れて切り裂かれるぞ
ひえっ
あんま十朱を脅かすなよ黒鉄··
あら、マナは大丈夫でしょっ
カマイ◯◯程度の百鬼なんてね
そんな事より···
え？
この鳥居には嫌な結界が張り巡らされているわ··
っ！！！
結界···ですか
···何か感じるか十朱？
いえ···
どうやら人しか入れない様にしているようですね
餌である人を引き込み、他の百鬼に横取りをされない為のモノか
ふん、仏眼め···！
捻り潰してくれるわ！
まぁ···、こんな結界なんぞ体当たりで簡単に突破出来るが、多少怪我をするリスクはあるな
···まるであの時の様です
ああ···、始めて仏眼の存在を知ることになった二ツ神温泉の怪
確かに···
仏眼は結界と洗脳が得意なようだな
ほんっとイケスカないわー！
取り敢えず、俺と十朱で行ってきますので、ヨーコさんと黒鉄はここで待っていて下さい
えっ！
···まさか、怖いのか？
こ、ここ怖くなんかっ、ありませんよ？！
普段からお祓いバイトで夜中に心霊スポットに行っているのだ、問題なかろうが
よし、じゃあ行くぞ十朱
了解です！
－PM8時50分－
《稲荷山神社－境内》
····かろうじて灯りがあります
神社の管理はしてんのかな··
どうでしょうか··、あまり綺麗とは言い切れない雰囲気ですね
·········
····どうかしましたか？
お前さあ··
はい？
口寄せ後なのに、珍しく起きてるのな
·········
実は先程まで結構眠かったのですが、
太裳さんが私の体に負担がかからないように気を使って下さっておりましたので寝落ちずに済んでいます
なるほどなぁ、太裳ってやっぱ凄いヤツなんだな··
あの方はどちらかと言うと神に近い存在ですね
···そうか
次からはもう少し敬意をはらうようにしよう
カ―――――――――ﾝ―··
っっ？！
何の音だ···？
····え？
何か聞こえましたか？
カ――――――――ﾝ―···
ほら···、また鳴ったぞ··
わ···、私の耳には何も···
····そうか
って事はその程度の百鬼と言うことか
····私を百鬼のレベル測定器にしないでもらっても宜しいです？
···だが、それだと変じゃねえか？
何がです？
ここの神社の鳥居にはヨーコさんですら嫌がる結界が張り巡らされているんだろ？
···あ、確かにそうですね
そう簡単に他の百鬼が入れないのなら、人がいる可能性の方が高いぜ
··まだ９時前ではありますが··、年末の雪が降るほど寒い夜に一人でこんな寂れた神社になんて··
···まあ、今はそんな事を気にしている時間はねえか··
そうですね···
柊さんの元へ参りましょう
