黒招き猫の価値
文字数 1,259文字
－PM12時15分－
《3年C組》
敢治····
おう！
こいつはさ、そんなに凄いもんじゃないんだぜ？
そんな訳あるかっ！
実際に取引までされている位なんだぞ！
そ、そんな事言われてもな··
··取り敢えず、この黒猫悪霊退散御守が出来た時の事情と効果を説明するです
ﾊﾗﾊﾗ··
あ、あぁ···そうだな
っ！！
·······
この招き猫を作ったのは、俺の父親なんだけど、そもそも趣味の陶芸で友人に贈る為に作成した産物だ
····え？
敢治···、お前が調べた通り俺は祓い屋をやっているが、霊力は俺よりも両親の方が強い
······っ！！
その父親が、心を込めて作ってたら
いつの間にかソイツに魂が宿っちまったって話なんだよ
なっ、なな···なんだと··
そんな事ってあんのか···っ！
カンジくん
·····あ？
災難って···
随分ザックリした内容ですね
か、カンジくん！
その席から離れた方がいいよっ
こっちへ·····っ
おっ、おう！
その時··
タッタッタッ
ガタンッッ
ｶﾞﾂｯ
うわおっ！！
っっ！！！
バシャッッッ
ぬおおっ！！！
カンジくんっ！
·········おおっ
ほおぉ～～っ
わわわっ！
大丈夫かよキンカンっ！？
あ、あぁ···！
何とかギリセーフだったぜ！！
なら良かったよ！
マジで悪かったな！
ってゆーか、おまっ
味噌汁抱えたまま走ってんじゃねーぞ！
あ·····っ
あーーー！！！俺の味噌汁無くなったじゃねぇか！！
知るかっ！こっちが被害者だぞ！
しかしながら、素晴らしい程にギリギリセーフでしたねぇ
避けた位置の正確さ···
むしろ橙田さんが凄いな
···カンジくんが無事で良かったよ
寧々！
有り難うな！
···········
·············
予言したのは自分なのに···
と、思っているようです
何それっ
彼のお顔に書いてあるです
そいつに表情一切無くない？
と、兎に角っ
それでオーマの父ちゃんが友人の為にコイツを作ったのは分かったけど··
敢治は床にばらまかれた味噌汁を
掃除しながら言った
でも、何でそんなに何個もあるんだよ？！
あ～··、それはたまたまって言うか
完璧な招き猫を造るために練習した副産物らしい
って言う事は··、もう作って無いってことか？
そりゃまぁ、こんな騒がしいもんが沢山いたら敵わねえだろうが
要するにです、我々はこの黒猫悪霊退散御守を、理由をつけてユーザーさんに押し付けていたと言う訳です！
······なっ！！
何て事だ···っ！やっぱり超レアアイテムじゃねえかー！！
何でそーなるんだ···
ポジティブな奴だよな敢治って··
あ、それから
この黒招き猫の得意な能力ってのは予言だけなのか？
だとしたら、何で商売人の間で大人気なんだよ？
あぁ、そいつは予言もするが本来の能力は所持者の運を上げる事が一番デカイようだぜ
っっ！！！！
な、なるほど···！運を上げる！
まるで座敷わらしだな！
ほほ、我々には必要の無いものですので大切にお家の玄関にでも飾っていて下さい
ああ！！
こんなレアアイテムが手に入るとは！マジで感謝だぜ十朱！
(元々は厄介払いなんだけどなぁ··)
