イタコの口寄せ フリーver
文字数 1,133文字
－AM2時20分－
【Para ti 】
オーマ、店は閉めたから
いつでもいいぜ？
はい···
····碓井さん
今から一体何をするんですか？
特別なショータイムだ
········
(···この子が何かをするって事か？)
因みに···
この店は人気があるからかなのか、イケメン美女が多いからなのか··
思った以上に浮遊していますね
ええっ？！
彼らも··、このお店の人達と一緒の気分を味わいたいのでしょうね
ま、人の多い所と楽しい所には集まるって言うしな
(全く感じもせず見えもせず···)
···それでは
始めましょうか
そう言うと、装束に着替えた十朱は
メガネを外して店の床に正座をした··
ジャラ―――――···
···········
ジャラジャラ――――···
···月山大権現の御前にて、百日通夜をなされつつ··
盲人末世迄の渡世の事を御受け下されかしと一心不乱に祈り給う··
ジャラジャラ―――··
然るに百日目の夜の暁に至り、月山権現、朝日の枕神立たせ給へう··
··········
(か、カッコいい··)
···何処に朝日、汝盲人となり、人のため、身のため、末世の渡瀬祈ること神妙成····
···········
即ち、四寸四方の箱一つ与ふる成··
此の箱の内に十二の巻物あらん
十二の巻物智識に読みな····
···私の人生は彼のためにあるのよっ！その為に毎日節約してお金も貯めてるんだから！
っ！！！！
っ！！！
ぉわっ！？
(急に？！)
そのお金は勿論【para ti 】で使うためよ！
そこいらへんの下手なホストクラブより遥かにクオリティが高いわ！！
因みにね、彼って言うのは私の一番推しであるオーナーのハルト君のことっ
············
(すげぇ、一人でめっちゃ喋ってる··)
(ってか、これってイタコの何とかってやつか？！)
····あんたはいつ此処に来店したんだ？
···ん？
アタシ？アタシは、殆ど毎日来ているわ！
昨日なんて、念願のハルト君がアタシの相手をしてくれたの！！通いつめた甲斐があったわ！
····彼女の記憶は20年前で止まっているようだな
え···、って事は··
その後にこの人は亡くなってるって事っすか··？
···そのようですね
···········
····？
あの人··、久しぶりにこの店に来店してきたぞ···、あの日··以来見かける事はなかったのに···
っ！！！！
(···急に雰囲気が変わったな)
ひぇっ？！
ま、まるで多重人格者のようだ··
これは···、もしかしたら
本命かもしれないぜ··！
