最終話
文字数 1,905文字
－PM4時45分－
《共同墓地》
··········
·········
よし···っと
··それじゃあ、帰ろうかレン
···アスマさん
ん？
···その
ずっと聞けないでいた事が···
あるのですが··
····どうした？改まって··
いつも決まって、お墓参りは伊吹家だけですが···、桐生家のお墓は無いのでしょうか··？
··········
桐生か··
········
···前にも言ったけど、父さん方の親戚とは会ったことが無いんだ··、だから墓があるのかも知らない··
···何か手掛かりは
····父さんが羅刹(らせつ)に喰われてしまった時点で、遺体を見付けるのは無理だったし··
家に、父さんに関するモノは何も残ってはいなかったよ··
っ！！
ご···、ご免なさい··
あ···
ゴメン、何もレンが謝る事はないんだ。それを気にするのは当然だよな
···しつこくて嫌にならないで欲しいのですが、やはり私はアスマさんのお父さんの事がどうしても気になります
·············
···私が子供の頃に、うちのお寺に助けを求めに来たあの方がアスマさんのお父さんならば··
レン、それは···もういいんだ
っ！！！
俺はね、過去の事よりも今が大事でさ、レンや逢馬、真那ちゃんに黒鉄、陵さん····
皆が元気でやっててくれたら、もうそれだけで充分なんだ
······
一番は···、俺にとって残酷で重たい運命を救ってくれたレンが側にいてくれたらそれだけで良い
っ！！
それに···、これからは子供達の時代だろ？そんな彼等を見守るのが俺らの役目だ
レンの気持ちは嬉しいけど、もう過去は振り返らないで、先だけを見据えて生きて行きたい··
············
レンと共にね··
············
···だから、俺の事はもう良いから
レンがそれをずっと気にかけて心を病む必要は無いよ··
······分かりました
アスマさんがそう望むのでしたら、私もそれで構いません··
うん···
有り難う、レン··
そして、願わくば···
早く孫の顔が見たい···！
っ！！！
それは大賛成です！
－同時刻－
《宮赤木区》
ふぁ······っっ
くしょぃっっ！
っっっ？！
だ、大丈夫です？
ぐず··
何だろ··、風邪引いたかな··？
そ、それはヤバイやつです！
折角これから皆さんと初の飲み会だと言うのに！！
別にそこまで酷くはねぇよ··
だったら良いのですが··
我々もようやく二十歳になり、お酒も飲める様になりましたからね！
あぁ··！
皆元気でやってんのかな？会うのも久しぶりだ！
メンバーは、もれなく集まれるようですので元気でいるのでしょう！
夜が待ち遠しいと思ったのは初めてです！
確かに夜なんてろくなもんじゃねぇからな···
さっさとお買い物を済ませて居酒屋さんへ向かうです！
はいはい
····あれ？逢馬？
お？！
青柳くんです！
真那ちゃんも！久しぶりだね！
何だか少し早く会ってしまったw
あーーーーー！！！
真那ぁーー！！！
伊織っ！！
久しぶりー！！まさかのフライングエンカウンターとか！！
時間よりも早めに出会ってしまったと言いたいようだよ
ははっ、いいんじゃない？
これも運命と言うことで同行する？
勿論する！！
買い物してたの？一緒に行こう真那！
はいです！
今日は皆と会えるの楽しみにしてたんだよ！寧々と七海にはたまに会えてたんだけどね！
私は本当に皆さんお久しぶりなのです！お酒も初めてですが、お手柔らかにお願いするです！
奏良は、今でも伊織とはベッタリなのか？
えっ？！
ﾆﾔﾆﾔ
·····まぁ、いつも通りかな
···そうか、それは良かった
···因みに
俺は、奏良のオネエ化も結構好きなんだけどさ、いつ見せてくれんの？
っっ！！！！！！？
楽しみにしてるぜ？
オーマ···、お前って本っ当に
食えねえ奴だな···！
ははっ、
よく言われるよ
なになにー？！
何の話してんの？！
な、内緒！
？？
ふっ
こうして、私達の物語はこれからも
続いて行く···
この先、其々の人生の中で
色々な経験をして、苦悩を乗り越えながら
大人になって行くんだろう
沢山の人達に支えられながら···
そして···
この後もきっと、様々な問題は出てきて、
それが原因で別れてしまうメンバーも
いるんだろうと思う···
でも、それは長い人生の中では当然な事で、
それもまた１つの経験となるんだ··
そうしながら、また次へと繋いで行く物語··
『伊織と奏良』をここまで読んでくれて
有り難う···。
私達のお話はここまでだけど、
またきっと会える日が来るから寂しくはないよ
いつかまた会える時まで···
『伊織と奏良』
－Fin－
