那岐の体質
文字数 1,248文字
－PM4時50分－
《伊吹家》
···何度も言っておりますが
私は家を継ぐ気はないです
············
真那、貴方はまだ子供です。伊吹君への想いは何れ冷めるときが来るかもしれません··、誰にも先の事など分からないのですよ？
··········
そっ、そんな事など絶対にありませんよ！！
いや··
···確かに先の事など誰にも分からない
っっ！！！！
··········
だったら··
もう少し長い目で見てくれれば良いんじゃないですか？
っ！！
今すぐ結婚なんて、そんな事は絶対に無理なのは俺達だって分かっています
···伊吹くん
それに、俺達は高校を卒業したら別々の大学に行く予定です。それでも俺達の縁が切れず、
今の気持ちが変わっていなければ、一緒になる事を許して頂きたい。
·············
(へえ～··)
(··逢馬、その言葉はその場限りの嘘には聞こえませんよ··)
(男らしくなったなぁ··)
くふぁ～～···わふ··
お母さん···
···何ですか絵那
二人がここまで言っているのです、私が跡を継いだとしても問題は無いはずではないです？
···········
全くだぜ··
真那でなけりゃならねぇ意味は何処にあんだよ？
俺から言わせりゃ真那より絵那の方が体力あるしな、何度でも口寄せが出来る
ぐっ！
真那は爆睡する癖があるだろーが、客を相手にしてそれはあまりにも商売にならねえ
···確かにそれはそうですが、十朱家には仕来たりと言うものがあるのです
跡を継ぐ者は長女だと決まっています
仕来たりですか···
···ええ
私としても本当に面倒だとすら思っています。問題なのは我々ではなく··
我々を取り囲む古い人間達なのですから··
まぁ、古い家には良くある話だよな
ええ··、私とて真那の幸せを一番に考えてあげたいのは山々なのです
っ？！
·····
それについては、ちゃんと分かっていますよ？
····えっ
本当に家の事しか考えていない方なのであれば、真那ちゃんを都会の高校に通わせたりはしませんからね
っっ！！！
じゃあ···、俺が一肌脱いでやろうか？
····え？
····失礼ですが
何処かでお会いした事がありましたでしょうか？
あぁ、イタコの十朱家には頻繁に呼ばれていたぜ？
えっ？！
まあ、俺を良く呼んでいたのは大婆様だがな
大婆様って··、ひいばあちゃんの事か？！
ああ、俺が26歳くらいの時に初めて呼び出されたんだがな、その時お前はまだ生まれたばかりだった
·········
っ！？
っ！！！
なんと····っ
その後も大婆様が生きているうちは依頼されて行っていたが、亡くなった後は依頼されることも無くなってな··
うちとしては依頼がなければ、伺う事も出来ねえから、その後の心配はしていたが···。
それにしても、随分デカクなってたから十朱と聞くまでは全く分からなかったよ
·······っ！
しかし···、十朱家ってのは、不思議なもんだな··霊や神を口寄せする割りに百鬼は見えねえのか？
っっっっ！！！！！
ま、まさか···那岐っ？！
