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文字数 995文字
結に覆いかぶさるケイ。
二人とも突然の出来事でこの状態になってしまったので、顔を真っ赤にし、お互いの顔を見ることが出来ないでいる。
ケイの髪が結の頬に触れる。
ケイは起き上がるどころかドンドン結に近づいていく。
ケイとの距離がゼロ距離になりそうになり、結はキスされる? と思い目をギュッと瞑る。
「ちょっとー! 二人で雰囲気ださないでくれる?」
と低めの女性の声が聞こえてくる。
結は驚き目を開けると、ケイの顔が結の顔の横に落ちてくる。
ケイと結を跨ぎ、ケイの頭をグイグイと押しているエマが立っていた。
エマはケイの頭から手を放し、両手を腰にあてる。
子供の頃から初恋の人を一途に思っている結にとっては雰囲気とか言われてもわからないのである。一途の弊害というのだろうか、結の中のカップルの定義は10歳以下の子供レベルのまま成長していないのだ。結の中では手を繋いでルンルンがデートであって、キスは結婚をする前提というなんとも可愛らしいメルヘンの世界で成り立っていたりする。
ケイはボンっと恥ずかしさが爆発し、顔を真っ赤にする。
そう。ケイはまだ結に覆いかぶさったままなのだ。