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(日本で日本食。そりゃ当たり前だけどさ、気分くらいはハワイを感じたいよね。ということで海を眺めながらご飯を食べよう。)


「あ、みてみて! ジョンに似た人がサーフボードをもって歩いているよ。めっちゃ絵になる! はぅ……カッコイイ!」

 結の瞳はハートでいっぱいになる。


 結たちが住む家の裏は浜辺である。窓を開けると海なのは遠くに見えるではなく、目の前にあるからなのだ。そして、この海はサーファーが集まる海である。地形的にも地域的にも日本人半分、海外の人が半分くらいの割合でここに人が集まるのだ。

「あらあら。ステキなイケメンさんね」
「前から思っていたけどさ、お母さんって面食いだよね。だって、私はイケメンとは言っていませんから」
 結はニヤニヤしながら横目で母を見る。
「そうかしら。海外の方ばかり好きな誰かさんと違って日本人も好きよ、お母さんは」
 結母は得意技のキラキラ天使の笑顔で嫌みを返す。

「う、痛いところを。そういえば、お母さんは再婚とかしないの?」


 (ちょっと痛いところを突かれたので、意地悪で無茶ぶりをしてみよう。)

「なあに? 外人さんのパパがほしいの? そうね! お母さんはベ〇ディクト・カンバーバッチさんみたいなパパがいいわ! あ、でも結ちゃんはドウェ〇ン・ジョンソンさんが好みだったかしら?」

「そうね。ドウェ〇ン・ジョンソンさんがパパになってほしいかな! 毎日ジャンプハグとか夢だよね! ベ〇ディクト・カンバーバッチさんは私の旦那さんがいいかしら!」
「うふふ。じゃあ、ハワイもジョンも必要ないってことね!」

「それとこれとは話は別です!」

「あらあら。そうなの? 難しいわね。ところで結ちゃん、時間は大丈夫かしら」
 壁の時計は八時十五分を指している。
「うわああ、こんな時間。走っていかないと間に合わないよ」
結はご飯を口いっぱいにつめこみ、家を出る。
「いってきまーす」
「はい、いってらっしゃい」

 結母は結が見えなくなるまで手を振り見送る。


 これが結と母の毎朝の光景である。

 このウチには父がいないのだ。

 (私は父がいない理由は知らないし今は興味がない。父がいないことを気にしてなのか母は、私が朝出かける時は必ず送り出してくれる。逆に家に帰っても母は家にいることはない。


 私は家計が大変ってことも聞かされたことはないけど、なんとなく自分のことは自分でやらないと、と思って部活はやらずパンケーキ屋でアルバイトをしている。ちなみに、夕ご飯も家事も私がやっている。別に苦痛じゃないし、それが私にとっての当たり前だから特に気にしたことはない。)

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登場人物紹介

佐糖 結(さとう ゆい)


主人公。

16歳。身長165センチ。

ケイの義理の妹で同級生。

将来はハワイに住むのが夢。

パンケーキ屋でアルバイトをしている。

ケイ・テイラー


16歳。身長185センチ。

結の義理の兄で同級生。

ルカ・テイラー


14歳。身長175センチ。

結の義理の弟。

モデルをやっている。

エマ・テイラー


22歳。身長180センチ。

結の義理の姉。

モデルをやっている。

気分により髪色を変えるが仕事の時は地毛の黒色になる。

橙楓 日和(とうか ひなた)


16歳。結のクラスメート。

幼稚園の時からの幼馴染。結の心友。

萌黄 星(もえぎ ひかり)


16歳。中学生の時からの友達。

青水 陽(あおみ はる)


16歳。結のクラスメート。

幼稚園の時からの幼馴染。

翠月 光優(みつき こうゆう)


16歳。結のクラスメート。

中学生の時からの友達。

朱音 守(しゅおん まもる)


16歳。中学生の時からの友達。

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