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文字数 538文字
周りを見渡しても海しか見えない場所。
聞こえてくるのは波の音。
感じる香りは……海の磯の香り。
そう……ここは。
海の上。
文字通りの海の上。
正確には船の上だけど、まあ結果的に海の上。
大事なことなので三回言いました。
ちなみに船とは。屋形船とかではなくケイの父が所有するクルーザーのことである。プールはないがジャグジー付き、一家族であれば生活も出来ちゃうくらいのそれなりに豪華なクルーザーだったりする。
何故、こんなものを所有しているかというと……その話は後程詳しく。
と海のど真ん中で叫ぶ、結。
さてさて、何があったか説明しよう!
一昨日まで一人っ子だった結は、母の突然の再婚により輝く黄金色の髪の兄と青空のような水色髪の弟と、まだ直接会っていないが七色の髪色を持つ姉ができた。
ここまでが昨日の話。
そして、今日。家族が増えて二日目の朝。
朝起きたら沖縄の海、クルーザーの上のふっわふわのソファベッドの上で目覚めたというわけである。
結の記憶では、夜寝る時は自分の布団に入って寝たはずなのだが、目覚めたら海の上ということでパニックになるのも大声で叫ぶのも当然である。
結は叫んだ拍子にハンモックから転げ落ち、そのまま気を失ってしまう。