第5話

文字数 459文字

「…イケメンの患者さんとか来ないかなぁ」
ぽつりと発した私の言葉にチーフが素早く反応した。
「え、どんなタイプのイケメンがいいの?」
「顔がシュッとした人、というか」
「なるほど」
「ここの患者さんって年配のおじいちゃんおばあちゃんばっかりじゃないですか。若いお兄さん自体なかなか来ないですよね」
「白内障とかだもんね、ここの患者さんのメインの症状」
「若い人は目が痛くても、まずは市販の目薬でなんとかしようとするから眼科に来ないですし」
「そうね」
「チーフはどんな人がタイプですか?」
「私はね、筋肉質で顔は中性的?って言ったらいいのかな」
「そうでしたね、韓流の踊れるようなアーティストさんとか好きなんでしたよね」
「えー、前にチラッと話しただけなのによく覚えてたね」
「私、実は記憶力いいんです」
ふふふ、と2人で顔を見合わせて笑った。
「あー、イケメン見たいなー!ミュージシャンとか若手俳優さんとか!!」
キャスター付きの椅子に座ってぐるぐる回りながら言う私をチーフは微笑みながら見守っていた。
窓や地面を叩く雨の音がどんどん強くなってきた。
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