月見草/待宵草

文字数 937文字

今日のお花は月見草。この時期道端では黄色い月見草をよく見かけます。

実はこちらは西洋月見草。在来種は白いものです。今では月見草といえば黄色になってしまいました。

花言葉は「打ち明けられない恋」「湯上がり美人」「うつろな愛」と、どこか儚げですが昼咲の月見草になると「固く結ばれた愛」と、正反対の花言葉になります。そんなところも月見草らしいような気がします。

昼咲月見草は可憐なピンク色です。

2020/05/17 07:14
2020/05/17 07:10

tukinoniwa

「月見草/待宵草」


「待てど 暮せど 来ぬ人を……」

 スイッチバックでなければ登ってこれないような山奥の秘湯。

 一人、窓際の広縁でスマートフォンのメール画面を開いたまま、途方に暮れる。

 沈んでいこうとする太陽がオレンジ色の光を深く部屋の中へと投げ込んでいた。

 私はとうに浴衣姿だというのに、あの人はまだ来ない。

 

 ここに来る前、見かけてしまったの。

 あなたと手をつないで歩く淡いピンクのワンピース姿の奥様。

 それにひきかえ……。

 うつむくと、洗いざらしの色落ちした浴衣が目に入る。まるで今の私みたい。

 色あせて、白白と夜が明けるのを待つことしかできない宵待草。


 別れましょう。

 消してしまうことも、送ることもできなかったメール画面に、震える指先を近づけるけれど……。

2020/05/17 07:32
2020/05/17 07:32

tukinoniwa

観月さん、

月見草/宵待ち草、花の名前と花言葉と、そしてお話の内容もはかなげで、切なくなりますね。

イラストも美しくて、、、。

読んだ後もしばらく物思いにふけってしまいました。

素敵なお話をありがとうございました!(^^)/

2020/05/17 13:00
ゆめさん、読んでくださってありがとうございます。

月見草。待宵草。どちらも詩的な名前です。

ひっそりと咲いているイメージですが、黄色のものは、公園の隅や路肩なんかに、たくさん生えていますね。イメージとは裏腹に、生命力の強い花なのかも知れません。

2020/05/17 15:39

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