花言葉ものがたり
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文字数 2,259文字
tukinoniwa
……花言葉は『愛らしさ』『懸命』『殊勝』などです。
「雪柳」
最終電車を下りて、月明かりに浮かぶ駅前公園をそぞろ歩きながら家へと向かった。
すり鉢状になっている公園の階段を降りた先で、何やら子どもたちが数人、頭を突き合わせて、言い合いをしている。
夜中の十二時少し前。
「どうする?」「どうしようもないじゃない!」「ほっとくわけにはいかないよ」
いったいどうしたというのだろう。
「君たち、どうしたの?」
声をかけたとたん、子どもたちが一斉に振り返った。
みんな真っ白い服を着て、似たような顔で
「おにいさん! ちょうどよかった! こっちこっち!」
と、僕の手を引っ張る。
たどり着いた場所にはダンボールに入った子猫が一匹。あまりの可愛らしさに思わず抱き上げた。
はっとして後ろを振り返ると、そこにはもう子どもたちの姿はなくて、ただ白い雪柳が、春の微風に小さく揺れているだけだった。
とても素敵な企画ですね。新米ですけど、投稿させていただきます。(操作が間違っていたらごめんなさい!m(__)m)
母さんが死んじゃってから僕はずっと一人で生きてきた。いや、ユキがいてくれるから一人と一匹だな。母さんは僕に「あんたがいてくれて幸せだったよ」って、それからユキに「ユキ、健太をよろしくね」って、逝ってしまった。
それからいろんなことがあったけど、ユキがいてくれたおかげでなんとか乗り越えてこれた。母さんにとっての僕の存在もこんな感じだったのかな。
彼女にふられて激烈に落ち込んでた夜、ユキが袖口をひぱって僕を誘う。
「わかったよ」とユキの後をついていくと、駅前の公園にでた。雪柳が満開だった。ユキは「オワーオワワー」と歌うように喉を鳴らし始めた。すると雪柳がゆれて可愛い声が聞こえてきた。合唱してる。そこへ3番目の声…!母さんの声だ!
優しい歌声にゆらゆらと揺られながら…
「ありがとう」とつぶやいた。
m0njam0n88
はじめまして。ご参加くださりとても嬉しく思います。
どんな方かしら? と、ゆめさんのアトリエにも遊びに行ってみました。
「おみまい」というお話、面白く読ませていただきました。
実は私、童話好きなのです。イラストもすごく可愛いいなと、思いました。
今回投稿していただいたお話も、どこか私の書いたお話と通じる雰囲気があって、不思議で優しいお話ですね。ありがとうございました。
館月さま、
こんなに早くリプライ!ありがとうございます!まだ操作がよくわからなくて、自分のアトリエとやらに入るのにもマゴマゴしております。(^^ゞ「おみまい」読んでいただいたのですね。嬉しいです!実は観月さんの「鬼宿り」を読んで、感激して、その勢いでこのサイトに登録したのです。素晴らしい作品ですね。これからも期待しております。
hagioS
雪柳、ありがとうございます。昔、花シリーズで書いた「雪柳」のツイノベがあったので、手直しました。ご一緒に参加させてください!
春休みも残すところあとわずか。お彼岸で帰っていた親戚連中がそれぞれの家に戻る日がきた。玄関先に荷物を置いて、のんびり雑談してたと思ったら――。
出立の時間になって、一番下の従姉妹の姿が見つからないらしい。大人たちは大慌てだ。大声で名前を叫んで探し回っている。広い屋敷に広い庭、どこもかしこも大騒ぎ。
知ってるのに、あの子の隠れる場所くらい。訊けば教えてあげるのに。
僕はこっそり庭におりた。
ほら、壁に沿った庭の外れ。幾重にも被さる雪柳の花の下。揺れる白波の間をぬって、重たげな枝をそっとよけると――。
白い木綿のワンピースが丸くなってる。
見つけてもらうのを待ちくたびれて、眠りかけてる。
呆れ顔の僕を寝ぼけ眼が見あげてる。
彼女は口を尖らせて、顔をしかめて人差し指を立てている。
「しいっ! ずっといっしょにいてあげるからね」
「雪柳」のお題をくださったのが萩尾さんでした。私も大好きなお花で張り切って書かせていただきました。
投稿してくださった作品、萩尾さんらしいリアルとファンタジーが溶け合う境界を切り取ったような、なんとも言えない雰囲気です。
せつさんはNOVEL DAYSのアカウントを持っていらっしゃらないので、許可をいただき私が代理でアップいたします。
せつさんというと、私の中ではちょっとブラックな短編やユーモアのあるエッセイというイメージなのですが、今回はロマンティックな作品です。
せつさん、ありがとうございました。
『噴雪花 』 あべせつ
「風花って、美しい響きね」
南国生まれの彼女は、雪を見たことがない。
「風花の舞い散る中で、プロポーズされるなんて、ロマンチックだわ」
今見た映画のワンシーンに彼女は感動している。
--風花なんて、そんなタイミングよく降らないよなあ。
何日も考えた末、僕は彼女を花公園に呼び出した。
「さあ、目を閉じて」
「え、なに、どうしたの?」
「いいから」
素直に目を閉じる彼女の手を引いて歩く。
「さあ、目を開けてごらん」
「え、雪?」
彼女は息を飲み、目を見開いた。
白い雪のかたまりのような花々が、彼女を取り囲むように辺り一面咲き乱れている。
「雪柳だよ」
その時、一陣の風が吹き、幾千の花びらが空に舞い、彼女を包み込む。
「風花だわ!」
両手を叩いて、はしゃぐ彼女を僕は思わず抱きしめた。
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