雪柳

文字数 2,259文字

最初のお花は雪柳

……花言葉は『愛らしさ』『懸命』『殊勝』などです。

2020/04/24 22:59
2020/04/24 22:33

tukinoniwa

「雪柳」


 最終電車を下りて、月明かりに浮かぶ駅前公園をそぞろ歩きながら家へと向かった。


 すり鉢状になっている公園の階段を降りた先で、何やら子どもたちが数人、頭を突き合わせて、言い合いをしている。


 夜中の十二時少し前。


「どうする?」「どうしようもないじゃない!」「ほっとくわけにはいかないよ」


 いったいどうしたというのだろう。


「君たち、どうしたの?」


 声をかけたとたん、子どもたちが一斉に振り返った。


 みんな真っ白い服を着て、似たような顔で


「おにいさん! ちょうどよかった! こっちこっち!」


 と、僕の手を引っ張る。


 たどり着いた場所にはダンボールに入った子猫が一匹。あまりの可愛らしさに思わず抱き上げた。


 はっとして後ろを振り返ると、そこにはもう子どもたちの姿はなくて、ただ白い雪柳が、春の微風に小さく揺れているだけだった。

2020/04/24 22:38

とても素敵な企画ですね。新米ですけど、投稿させていただきます。(操作が間違っていたらごめんなさい!m(__)m) 





母さんが死んじゃってから僕はずっと一人で生きてきた。
いや、ユキがいてくれるから一人と一匹だな。
母さんは僕に「あんたがいてくれて幸せだったよ」って、
それからユキに「ユキ、健太をよろしくね」って、逝ってしまった。



 それからいろんなことがあったけど、ユキがいてくれたおかげでなんとか乗り越えてこれた。母さんにとっての僕の存在もこんな感じだったのかな。



 彼女にふられて激烈に落ち込んでた夜、ユキが袖口をひぱって僕を誘う。

「わかったよ」とユキの後をついていくと、駅前の公園にでた。
雪柳が満開だった。
ユキは「オワーオワワー」と歌うように喉を鳴らし始めた。
すると
雪柳がゆれて可愛い声が聞こえてきた。合唱してる。
そこへ3番目の声…!
母さんの声だ!



 優しい歌声にゆらゆらと揺られながら…

「ありがとう」とつぶやいた。




2020/05/02 20:47

m0njam0n88

堀井ゆめさん。

はじめまして。ご参加くださりとても嬉しく思います。

どんな方かしら? と、ゆめさんのアトリエにも遊びに行ってみました。

「おみまい」というお話、面白く読ませていただきました。

実は私、童話好きなのです。イラストもすごく可愛いいなと、思いました。

今回投稿していただいたお話も、どこか私の書いたお話と通じる雰囲気があって、不思議で優しいお話ですね。ありがとうございました。

2020/05/02 21:11

館月さま、

こんなに早くリプライ!ありがとうございます!まだ操作がよくわからなくて、自分のアトリエとやらに入るのにもマゴマゴしております。(^^ゞ「おみまい」読んでいただいたのですね。嬉しいです!実は観月さんの「鬼宿り」を読んで、感激して、その勢いでこのサイトに登録したのです。素晴らしい作品ですね。これからも期待しております。

2020/05/02 21:25

m0njam0n88

こんにちは!

雪柳、ありがとうございます。昔、花シリーズで書いた「雪柳」のツイノベがあったので、手直しました。ご一緒に参加させてください!

2020/05/04 07:39

 春休みも残すところあとわずか。お彼岸で帰っていた親戚連中がそれぞれの家に戻る日がきた。玄関先に荷物を置いて、のんびり雑談してたと思ったら――。


 出立の時間になって、一番下の従姉妹の姿が見つからないらしい。大人たちは大慌てだ。大声で名前を叫んで探し回っている。広い屋敷に広い庭、どこもかしこも大騒ぎ。


 知ってるのに、あの子の隠れる場所くらい。訊けば教えてあげるのに。


 僕はこっそり庭におりた。




 ほら、壁に沿った庭の外れ。幾重にも被さる雪柳の花の下。揺れる白波の間をぬって、重たげな枝をそっとよけると――。


 白い木綿のワンピースが丸くなってる。

 見つけてもらうのを待ちくたびれて、眠りかけてる。


 呆れ顔の僕を寝ぼけ眼が見あげてる。

 彼女は口を尖らせて、顔をしかめて人差し指を立てている。


「しいっ! ずっといっしょにいてあげるからね」





2020/05/04 08:03
萩尾滋さん。こちらへの投稿ありがとうございます。

「雪柳」のお題をくださったのが萩尾さんでした。私も大好きなお花で張り切って書かせていただきました。

投稿してくださった作品、萩尾さんらしいリアルとファンタジーが溶け合う境界を切り取ったような、なんとも言えない雰囲気です。

2020/05/04 12:13
ブロ友のあべせつさんが、こちらのコラボに参加してくださいました。

せつさんはNOVEL DAYSのアカウントを持っていらっしゃらないので、許可をいただき私が代理でアップいたします。

せつさんというと、私の中ではちょっとブラックな短編やユーモアのあるエッセイというイメージなのですが、今回はロマンティックな作品です。

せつさん、ありがとうございました。


噴雪花 』   あべせつ

 

「風花って、美しい響きね」

 南国生まれの彼女は、雪を見たことがない。

「風花の舞い散る中で、プロポーズされるなんて、ロマンチックだわ」

 今見た映画のワンシーンに彼女は感動している。

--風花なんて、そんなタイミングよく降らないよなあ。

 何日も考えた末、僕は彼女を花公園に呼び出した。

「さあ、目を閉じて」

「え、なに、どうしたの?」

「いいから」

 素直に目を閉じる彼女の手を引いて歩く。

「さあ、目を開けてごらん」

「え、雪?」

 彼女は息を飲み、目を見開いた。

 白い雪のかたまりのような花々が、彼女を取り囲むように辺り一面咲き乱れている。

「雪柳だよ」

 その時、一陣の風が吹き、幾千の花びらが空に舞い、彼女を包み込む。

「風花だわ!」

 両手を叩いて、はしゃぐ彼女を僕は思わず抱きしめた。

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2020/05/14 20:31

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