第11話:米津家での年末、年始

文字数 2,044文字

 そして、翌日、九十九里の海岸に出かけ、父と祖父が、釣りを始めた。しかし、米津俊彦と母、祖母の3人は、持参した折りたたみ椅子に座った。
「しばらく、太平洋の荒波を眺めた。そして気持よいと呟いた」
「今年あった嫌な事も忘れられるねと米津俊彦が言うと、母、祖母も同意した」
「祖母が、太平洋って、本当に逞しく、また美しいね。ここに住めて、本当に幸せと語った」

 その後、16時には、車に乗って、自宅へ帰って来た。そして、その晩は、早めに風呂に入って、食事をして、お酒を飲むと年末の忙しさもあって、眠くなり、お休みと言って、布団にもぐりこんだ。翌朝、米津兄弟は、ゆっくりと起きてきて、ここは静かで、ぐっすり眠れると笑顔で言った。都会よりもやっぱり自然の多い田舎の方が、住むには、良いなと呟いた。

 12月30日は、6人がハイエースに乗って、少し離れた大型スーパーに年末の買い出しに出かけた。10時半頃つくと、まだ、それ程混んでいなくて、母と祖母が、次々に買い物をして男性たちが、大きな買い物袋を持って、ハイエースに積み込んだ。その後、スーパーのレストランで、早めの昼食を食べて、ちょうどお昼ごろ自宅に帰って来た。

 そして男性が、品物を冷蔵庫に入れた。母と祖母は、手分けして料理を始め、子供たちにお湯を沸かしてとか、指示しながら、食事を作り始め、父が、風呂を沸かし始めた。そして18時半ころから夕食を食べ、米津彦一と米津俊彦は、買ってきた、白と赤のワインを明けて、母と祖母にも飲んでみてと誘った。すると、赤は、独特の癖がある様で、白ワインを好んで飲んだ。

 父と祖父は、もっぱら熱燗を飲んでいた。ステーキ、シチューの様な牛肉の煮物、魚の煮つけ。焼き魚、漬物、サラダと品数も多く、豪華な夕食になった。そのためか、口数も少なく、美味しいと言いながら、食事が進んだ。その晩は、まだ、完全に疲れが取れていないせいか、米津彦一と米津俊彦の口数は少なかった。むしろ、風呂上がりにワインを飲んで、真っ赤になってしまった。

 そのため、22時には、散会になり床に入った。翌、31日は、祖母と、母が、大きな荷物を片付けたいと言い、米津彦一とに重たい荷物の移動の仕事を頼んで、午前中には、その仕事が終わった。かなり汗をかいたので、早めに風呂に入った。その後、毎年、高齢となった今年の出来事の話が、始まった。2009年、恋人はできたのと母と祖母に米津兄弟が問われた。

 米津彦一、会社の飲み友達は、いるが、4人とか6人位の仲間で行くので、そんな雰囲気にならないと言った。また、信用金庫も銀行と同じで、毎日、出納の計算があり、合わないと、合うまで、残業となる。そして、間違いを起こした人は、叱られる。あまり、間違いが多いと、会社にいられなくなり、毎年、女性たち数人は、退職していくと語った。

 決して、良い職場雰囲気とは言えないと本音を語った。また、もし、同僚で結婚した場合は、たいてい、夫婦で、同じ職場にいることはなく、たいてい女性の方が、他の店に移動されると言った。金を扱う仕事に不正は厳禁なので、間違いの芽を、あらかじめ、つんでおくと言うのが、金融機関の鉄則なんだと、あまり好感を持っていない様子で語った。

 確かに金融機関の不正問題って数年に1回くらいは、新聞記事になっているものねと母が、同情する様に述べた。スーパーはと弟の米津俊彦に問われると、スーパーは、基本的に早出して、掃除をしたり仕事の準備をする係と上司を含め、通常通り勤務する係と遅番と言って在庫管理とか、その日に多く売れた商品の補充など力仕事をする係の3つのグループに別れる。

 一番人気がないのが、遅番であり、米津俊彦は、その遅番をかって出ていると言った。その理由は、出勤が、10時からなので、株の開始時の値動きが分かるのが、一番都合がよいと述べた。また上司と綿密な打ち合わせする必要もなく、在庫管理が、一番重要だから、体力さえあれば、問題なくこなせる。でも女性たちと仕事後、飲みに行くのができないのが一番の問題かなと言った。

 それで、未婚の男女が、多いのかもしれないと笑った。でも、気楽さが、自分では一番気に入っていると話した。第一、株投資をするには、一番良いのだと、本音を漏らした。祖父が、もう何か株を買ったのかと聞いた。そこで、新しく出た、金「ゴールド」のETFを買ったと言うと、堅いねと苦笑いした。堅いと言わず、堅実と言って欲しいねと言うと確かに堅実だと言い直した。

 2人の話を聞いて、母が、ちょっと、つまんないけど、当分、孫の顔を見ることができそうにないねと寂しそうに笑った。それに対して、良いじゃないか、堅実に2人とも頑張っているのだからと祖父が言うと、それもそうねと寂しげに笑った。車に乗ることは、あまりないのか祖父が聞くと都会は、電車、バスが発達しているので、車を買う必要性は感じないと語った。その後、祖父が、今日は、珍しい酒を飲ませてやろうと言った。
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