第8話:日本の不景気、北朝鮮のミサイル

文字数 2,050文字

 それと同時に3年後の消費税率引き上げ案と現時点での衆議院の解散総選挙はないことを明言した。2月9日、宮内庁、12月上旬に体調を崩した明仁天皇の精密検査を行った。その後の医師団の発表で明仁天皇の容態について、「心臓の不整脈は収まった状態である。しかし胃と十二指腸に炎症所見が確認された。

 陛下がご体調を崩された原因は皇室内外の諸問題に対するご心痛、ご心労であると見られる」と発表。侍医団は天皇の公務見直しなどを宮内庁に要望した。12月12日、麻生太郎首相、総額23兆円規模となる緊急経済対策、『生活防衛のための緊急対策』の概要を発表。「主要先進国で一番早い不況脱出を目指す」ことを表明した。

 12月31日10~12月期の国内総生産が、前期比3.3%減と2001年4~12月期のITバブル崩壊以来7年ぶりの3四半期連続のマイナス成長となる。年率換算では、12.7%減と、オイルショック直後の1974年1~3月期に年率換算13.1%減となって以来、34年9ヶ月ぶりの2桁減となり、景気後退が深刻化した。こうして2009年を迎えた。

 今回の金融危機は欧米が中心で、日本の金融システムは相対的に安定していたが、膨張していた海外需要が一気に喪失することとなり、外需に依存していた日本経済に多大な影響を与えた。2008年末までに日本の財政、金融当局が取った政策対応は、急激な資産価格の下落と景気後退に歯止めをかけるための極めて緊急避難的性格のものであり、短期的には確かにその必要度は高い。

 しかし副作用は無視できない。財政面では、大幅な財政拡大を国債発行に依存した結果、国債発行は33兆円に拡大した。財政の大幅拡大は、基礎的財政収支を急激に悪化させるという大きな副作用を伴うものであった。2009年正月は、米津彦一、米津俊彦が、実家に戻り、両親、祖父母との6人で、ハイエースに乗って地元で有名な成東八幡神社に初詣に出かけた。

 朝まだ早い時間だったので、それほどこんでいなかったが、帰る頃には駐車場が、いっぱいになり、まさに苦しいときの神頼みという感じがした。その後、父が手に入れた立派な鯛を焼いて、正月を祝った。母と祖母が、米津彦一、米津俊彦に彼女ができたかとか、結婚するのかと根掘り葉掘り聞いたが、仕事の話に終始して恋愛問題は煙に巻いた。正月が終わると潮が引くように子供達も実家を去って行った。

 1月29日、北海道の地場大手百貨店、丸井今井が、札幌地方裁判所に民事再生法の適用を申請。負債総額は約502億円と言うニュースが新聞に載っていた。これは、1,2年前からの世界規模の経済の低迷で、地方の名門デパートの倒産という形で、地方経済から崩れ去っていく日本の現状を思い知らされた。2月14日、九十九里地方でも初夏のような陽気になった。

 しかし、これは、ここだけではなかった。南から流れ込んだ暖かい空気に強い日差しが加わって全国的に気温が上昇した。静岡県静岡市清水区で26.8℃、神奈川県小田原市で26.1℃、全国105ヵ所の観測地点で2月の最高気温を更新した。2月22日、ロサンゼルス、映画『おくりびと』が第81回アカデミー賞最優秀外国語映画賞に選ばれた。

 日本映画が同賞に選ばれるのは、1955年に『宮本武蔵』が受賞して以来54年ぶり、アカデミー短編アニメ賞に『つみきのいえ』が選ばれ、日本作品がダブル受賞を獲得。2009年3月10日、日経平均株価の終値が7054円98銭となりバブル崩壊後の最安値を更新した。3月29日、千葉県知事選挙で、森田健作が2回目の挑戦で、初当選したと言うニュースが飛び込んできた。

 それを知った、母が、
「テレビドラマに主演した色男が、なんで、政治家になるのかねーと不思議そうに言った」
「それを聞き、奥さんが、県知事も不細工な男より色男の方がテレビ映りも良いと笑った」
「祖父が、馬鹿者、政治家は、頭と決断力と清廉潔白ではないと駄目だと言い切った」

 それは、この地域で、選挙の度に票を金で買うという事件が、県内の多くの場所で、起きていたことを祖父は、苦々しく思っていたのだった。4月5日 の11時半頃、北朝鮮の咸鏡北道舞水端里から東北地方の太平洋上に向けてミサイル発射実験を実施した。ミサイルは、1段目が秋田県沖の日本海に、2段目は日本上空を通過し、太平洋上に落下した。

 長距離弾道ミサイル『テポドン2号』の改良型と見られている。4月7日、衆議院、北朝鮮のミサイル発射に対する抗議決議を自由民主党、民主党、公明党などの賛成多数で採択。決議は、自民党、公明党の共同提案。日本共産党は反対し、社会民主党は、採決を棄権した。4月10日、日本政府は、「ミサイル発射」と断定したと発表した。

 それまでは、「ミサイル」と断定する表現を避け、「飛翔体」と呼んでいた。北朝鮮は、「人工衛星」の打上げ成功を主張した。麻生太郎内閣総理大臣が、「北朝鮮によるミサイル発射は極めて遺憾」と声明を発表した。
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