第八話 越後屋六右衛門スケヤス
文字数 1,431文字
…っと、こりゃいけねえ。あっしとしたことが、失礼しやした。
お初にお目にかかりやす、お姫様。
手前、魔界と人間界を股にかけるスーパーワールドワイドビジネスを展開しておりやす、越後屋三代目当主、越後屋六右衛門スケヤスと申しやす。略してエチゴヤンとお呼び下せえ。以後、お見知りおきを。
おや、今「何でスケヤスなのにエチゴヤンなの?」というお顔をされやしたね?
話せば長くなりやすが、あっしがこんな小せえガキンチョだった頃、スケヤンなんてあだ名をつけられやしてね。おいスケヤン、ほれスケヤンなどと気軽に声をかけていただいたもんでごぜえやす。その後色々ありやして、先代から越後屋を継ぐに当たって何かこうお客さんに親しまれるようなものはないかと思いやしてね。
それであっしもピンときた。愛称としてヤンをつければ親しみも湧くんじゃないか、ってね。
しかしこの先代というのがまた頑固なお人でして、あ、先代と申しやしても、あっしとは血縁関係にはありやせんで、あっしがブラブラしているところを拾っていただきやして、まあ今でいうニートとか、ちょっと前だとぷーたろーなどと……。