第二十一話 勇者登場……!?

文字数 1,144文字

ヨウヤク捕マエタゴブ。
ニャ、ニャ、ニャァァァァン(泣
ゴブ美ニ懐イテルゴブ。
早ク連レテ帰ルゴブ。
ちょ、ちょっとベリアル!
なんか変なこと言い出してるんだけど!
いや、これはむしろチャンスかと。
このまま、あのゴブリン達がアシュタロトを持ち帰ってくれれば、ねぐらの位置を突き止めることができますしな。
で、でも……。
なあに、心配することはありませぬぞ。
ゴブリンは魔界でも随一の動物好きとして知られておりますゆえ。魔界でも畜産担当の筆頭ですからな。
なぁんだ、それなら安心ね!
おや、なにやらアシュタロトが口をパクパクさせているようですな。
(姫様~たすけて~)
助けてって言われてもねえ……。
うーん……。
(あ・と・で!)
(シクシク……)
チョー可愛イ、マジヤバイゴブ!
食ベチャイタイクライゴブ!
ねえベリアル、本当に心配ないのよね?
それこそ大船に乗ったつもりでいれば大丈夫かと。
可愛スギテヨダレが出テキタゴブ!
ジュル……。
ニャニャニャニャアアアアア…(泣
おい!
そこのゴブリン達、やめないか!!
ナ、何者ゴブ!
僕の名前はクラウス。勇者見習いをしている者だ!
その猫を放せ! 嫌がっているだろう。
勇者……見習イ……ゴブ?
可哀相ゴブ。頭ガイッチャッテルゴブ。
ちょ、なによあれ!
むむ、どうやら通りすがりの人間のようですが……。
勇者見習いって……ゴブリンにも呆れられちゃってるじゃない。
トットト帰ッタ方ガイイゴブ。
ヤッパ外ハ危ナイゴブ。
ま、待て!
その子を置いていけと言ってるんだ!!
ヤダ、コノ人コワインデスゴブ。
チョー怒ッテルンデスゴブ。
ニャンコハ拾ッタ俺達ノモノゴブ。
僕は……僕は他の人が困っているのを見逃せないんだ。
それがたとえ猫であっても……!
ニャニャニャニャ……ニャオーン
ウチラノ邪魔ハサセナイゴブ!
人間ハイツモ俺達ノ大切ナモノヲ奪ッテイクゴブ!
なるべく力には訴えたくないんだけど……こうなったら仕方ない、か……。
いくぞぉぉぉぉぉ!
ちょ、せっかく上手くいってたのに、なんか助けちゃいそうなんだけど!
あの少年……もしや……。
ウォォォォォォオオオ!!
ヤ、ヤバイゴブ!
ゴブ美ッ! 逃ゲロゴブ!
ココハ俺ガ食イ止メルゴブ!!
ゴブ太郎……!
オォォォ!!
ゴブ美、ゴメンゴブ……。
アノ時ノ約束、果タセナイカモゴブ……。
ゴ、ゴブ太郎ーーーーッ!!
ドッテーン!!
ドサッ!!
ゴツッ!!
……。
……。
……。
勝手ニ転ンデ頭ヲ打ッタゴブ。気ヲ失ッテルゴブ。
トリアエズ連レテクゴブ。
ちょっ……いったい何なの、あれ。
やはり、あの少年……。
ものすごく弱い上に、天からも見放されているようですな……。
アシュタロトも、あの変なのも連れてかれちゃったし、どうすればいいのよ!?
うーむ……。
とりあえずは当初の作戦通り、連中の後をつけてみるしかなさそうですな……。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

エルスリーゼ
魔王の娘。世間知らずでわがまま放題。

アシュタロト
エルスリーゼの教育係。由緒ある大悪魔だが、姫のおてんばっぷりに手を焼いている。

ベリアル
エルスリーゼの教育係。教育面はアシュタロトに任せて日向ぼっこをしていることが多い。

エチゴヤン

本名は越後屋六右衛門スケヤス。魔界と人間界を行き来して商売をしている。

おじいさん

一行が最初に訪れた村で農業を営んでいる。

魔王

エルスリーゼの父。

ヴィンドルフ

盗賊団『暁ノ狼』の頭領。

クラウス

勇者を目指している少年。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色