第3話:田中金脈問題と海外の短波放送

文字数 2,045文字

 その内容は、田中氏の「田中角栄研究―その金脈と人脈」についてであった。1969年~1970年にかけて田中ファミリー企業群が信濃川河川敷における約4億円で買収した土地が直後に建設省の工事によって時価数百億円となった信濃川河川敷問題等の資産形成を暴いた。10月13日発売の『ニューズウィーク』、10月17日付け「ボルチモアサン」

 さらに10月19日付の「ワシントン・ポスト」などが欧米メディアがこの金脈問題を紹介し反響は日本国内よりも外国で注目された。10月22日にT首相が丸の内プレスクラブでおこなった外国人記者会見では、詰めかけた300人の日本国内、国外の記者は、田中氏の演説には耳を貸さず、金脈問題を集中的に質問した。

 記者の質問に田中首相は釈明を繰り返したが、翌朝各紙のトップ記事になると国内でも政治問題として広く注目されるようになり自民党内閣支持率が低下した。T首相は11月11日に内閣改造して改造内閣で乗り切ろうとしたが、野党が金脈問題追及のためにS氏を含めた田中人脈に連なる者たちの国会招致を求めるようになったことで政権維持を断念した。

 11月26日にTK官房長官がT首相の言葉を代読する形で退陣を表明した。
「私個人の問題で世間の誤解を招いたことは公人として不明、不徳のいたすところ」
「私は国政の最高責任者として政治的、道義的責任を痛感しております」
こうして。12月9日に田中内閣が総辞職した。

 国会では、田中氏ファミリー企業群の1つ「S企業」が免許切れにもかかわらず不動産取引を行っている問題が取り上げられ、警視庁・東京地検特捜部が捜査に乗り出した。1975年6月23日にS企業幹部1人が宅地建物取引業法違反と商法の特別背任罪で法人「S企業」と新星企業幹部1人が宅地建物取引業法違反で、それぞれ起訴された。

 1975年12月12日にS企業幹部1人に懲役1年6ヶ月、執行猶予2年及び罰金30万円、法人「S企業」とS企業幹部1人に罰金30万円の有罪判決が下り、確定した。この裁判において田中氏との繋がりは、初公判における検察の冒頭陳述でS企業の株主として田中氏の名前があることが一度出ただけであった。

 また、信濃川河川敷問題では、安価で土地を手放した元地主2名が土地の返還を求めて田中氏の企業に民事訴訟を起こした。しかし、元地主2名の田中氏のファミリー企業に対して民事訴訟を起したが、1997年2月に最高裁で元地主側の敗訴が確定した。この問題はフリージャーナリストの調査報道により時の首相を退陣に追い込んだ例としても知られる。

 当時の政治部記者達は「その位の事は、皆知っている」と語った。これについては「知っているなら、なぜ書かなかったのか」と言われた。この件で政治部記者と政治家が取材距離の近さにより癒着を問題視する意見が多く出た。1975年が明けると2の友人、山内武史は、お父さんの転勤で神戸へ、日髙政則も同じ理由で仙台へ引っ越してしまった。

 その後、手紙のやり取りや電話をして近況報告をしてくれた。この頃、になると工業の専門学校に行きたいと考える様になった。蒔田亮三は、化学反応に興味を持ち化学の専門家になろうと考え始めた。こうして1975年1月、東京と八王子市の国立東京高専化学科を受験して合格した。この年、そして父が、合格祝いとしてパソコンを蒔田亮三に買ってやると言ってくれた。

 しかし、その頃、特に欲しいものがなく欲しいものができたら、お願いと伝えた。こうして東京高専の制服、カバン、本など必要なものをそろえた。4月から通い始めた。運動部からの誘いが、あったが厳しい練習や競争が嫌いだったので自分のペースでやれる陸上部に入った。そして、走りたい時にグラウンドを気のすむまで走り汗をかきシャワーを浴びた。

 その後、18時頃まで学校で勉強して帰った。また、高専は、授業時間が長いので、あまり暇がなく、学生生活に慣れるまで中学に比べると、かなり時間がかかり9月になってやっと慣れた感じがした。しかし、電気、機械科でもマニアが多く現在で言うオタク系男子が多かった。電気科の同期の陸上部の加藤君に最新のラジカセについて何が良いか聞いた。

 その質問に対してソニーのスカイセンサーが良いと教えてくれた。しかし、来年まで待った方が良いと言われた。スカイセンサーは、世界の短波放送まで聞くことができ感度は最高だと教えられた。この当時、BCL「ブロード・キャスト・リスニング」短波を使い海外からの放送を受信して聞くマニアが多かった。それに蒔田亮三も興味を持った。

 こうして1976年となりカセットテープレコーダー付きのスカイセンサーCF-5950を56800円で購入した。これで米軍基地放送を聞き英語のトレーニングをした。疲れるとアメリカンポップス、例えば、テンプテーションズ、マーヴィン・ゲイ、グラディス・ナイト・アンド・ザ・ピップス、ダイアナ・ロス・アンド・ザ・スプリームスを聞いた。
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