第13話:競馬に夢中、友人との約束

文字数 2,071文字

 2005年9月11日、第44回衆議院議員総選挙投票日。自由民主党が296議席の記録的な圧勝で連立与党の公明党と計326議席を確保。与党が衆議院の3分の2超の議席を獲得。民主党は議席を大幅に失い岡田克也代表が辞任。郵政民営化反対派は33人中16人が敗北。

 投票率は67%超と前回を大幅に上回った。10月14日、郵政民営化関連法案が成立。10月21日、自由民主党の党紀委員会が通常国会で郵政民営化法案採決に反対票を投じ、衆院解散後新党を結成した綿貫民輔ら衆院議員「落選した元議員も含む」7人と参院議員2人を除名処分を決めた。

 さらに28日には、特別国会で同法案採決を欠席した野呂田芳成衆院議員を除名とするなど、「造反議員」に対する処分が決定した。10月23日、武豊騎手騎乗のディープインパクトがこの日行われた菊花賞に勝利した。11月20日、山内が、日髙と蒔田に電話をかけ来週の11月27日のジャパンカップを見に行こうと誘われた。

 気分転換も必要だと日髙と蒔田も同意し府中本町駅改札口で14時に待ち合わせることにした。13時50分に蒔田が行くと山内が競馬新聞を片手に待っていた。少しして日髙もやってきた。雑談しながら10分足らずで東京競馬場に入った。競馬場内のカフェに入り山内が仕切って、基本、単勝の1、2,3番人気を買い、その他、連勝で1つ買うと言った。

 日髙と蒔田は、競馬は初めてだったので単勝の1、2,3番人気の馬券だけを買う事にした。山内は、馬連「1着と2着馬の組合せを当てる馬券で1着2着逆もOK」その1,2、3番人気の馬の3つの組み合わせ「1-2,2-3、1-3」」を千円ずつ合計3千円分の馬券を買った。重賞レースは混んでるたので早めにマルチ画面ターフビジョンが良く見える場所に座った。

 初めて行った日髙と蒔田は、緊張しレース開始を待つとレース前、急にスタンドの観客が総立ちになった。この凄い気迫に、びびった。乾いた金属音と共にゲートが開き一斉にスタートした。しかし、全部が上手にスタートできるわけでなく緊張して出遅れる馬もいた。2番のタップダンスシチーが「行く」という宣言通りに先頭に出た。

 普通なら向こう正面でペースは落ち着くが、ここで緩まないのが、ジャパンカップ。特に今年は、バゴ、ベタートークナウなど海外のクラシックで買った6頭の外国馬すべてがGI馬だった。ワールドクラスの馬の緊迫した雰囲気となり速度に落とさない。1ハロン11秒8~12秒というラップが刻み続けられた。

 千メートル通過58秒3のハイペースだが、上がり3ハロン34秒台の脚でないと勝負にならない。それ程、レベルの高いジャパンカップならでは。海外でGIを制したウィジャボードがK.ファロン騎手とともに内から抜け出しを図った。これにL.デットーリ騎手が駆るサンクルー大賞典の勝ち馬アルカセットが並びかけた。

 外からはK.デザーモ騎手のゼンノロブロイがジャパンカップ連覇を目指し、武豊騎手のリンカーンもゴール前でもうひと伸びの2着。さらに、C.ルメール騎手のハーツクライが馬群を割って猛追。極限までスピードとスタミナを要求される消耗戦の中、世界の名手達が馬を前へ前へと押し出す。

 こうしてマークされた2分22秒1。最終的に勝者はアルカセットと決定した。その結果、優勝、14番のアルカセット、2着、16番ハーツクライ、3着、8番ゼンノロブロイ。単勝3番人気で日髙と蒔田が1060円の勝ちで山内が馬連で3310円の勝ち。10枚ずつ買ったので日髙と蒔田が7600円のプラス、山内は、3万100円プラスとなった。

 帰りは、登戸駅近くの居酒屋で、ビールで祝杯をあげた。日髙と蒔田が久しぶりに強烈な緊張感を味わったと顔をほころばせた。山内が、実は俺も久しぶりの当たり馬券何だよと照れ笑いを浮かべた。その後、結婚の話になったが、日髙が彼女とつき合っていたが彼女の神戸に住む両親が気位が高かった。そのため、なかなか結婚を認めてくれなかった。

 そのため、仕方なく駆け落ちみたいに関東に出て来て同棲してると語った。山内は、俺は牝馬が好きだが気の強い女性は好きになれないと言った。しかし、ビールから日本酒、ウイスキーになり酔ってくると山内が、しんみりとし始めた。そして実は、俺は、好きな彼女がいて随分前、結婚を約束した。でも神様は、意地悪で彼女が難病にかかった。

 そして、半年の闘病生活の末、美しい顔のまま、息を引き取ったと告げた。話しながら、ボロボロと涙を流すのを見て何も言えず、山内が、ウイスキーをストレートで飲み始めると店を切り上げて精算するとき山内が3万円を出して、これで精算しろと言った。そこで、日髙と蒔田が、ご馳走さんと御礼を言った。

 帰り道、かなり酔った山内を蒔田が家まで送ってやった。帰り際、酔った山内が、俺は本当に良い友達を持って幸せだと言った。それを聞いて蒔田も堪らず、涙をこぼし、これからも長くつき合っていこうと言うと、山内が、蒔田の手をきつく握り宜しくなと笑った。
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