ケチな先輩
文字数 298文字
会社の先輩に仕事終わりで酒に誘われた。ケチな先輩だから割り勘だろうと思ったらその通りになった。
居酒屋を出て歩いている時、書店の前を通りかかった。先輩が立ち止まった。
「どしたんすか」
俺が訊くと先輩は答えた。
「詩集、おごってやるよ」
「えっ」
「詩集、おごってやるよ」
先輩は書店に入っていった。欲しい雑誌があったのでそっちをおごってもらおうとしたが先輩は、
「おごるなら詩集だから」
と言って聞かない。適当に知らない外国作家の詩集を手に取り、
「じゃあこれで」
と言うと先輩は満足そうに財布を取り出した。
翌日先輩に会社で会うと、
「何も覚えていない」
と言われた。
その詩集はいまだに俺の部屋にある。
居酒屋を出て歩いている時、書店の前を通りかかった。先輩が立ち止まった。
「どしたんすか」
俺が訊くと先輩は答えた。
「詩集、おごってやるよ」
「えっ」
「詩集、おごってやるよ」
先輩は書店に入っていった。欲しい雑誌があったのでそっちをおごってもらおうとしたが先輩は、
「おごるなら詩集だから」
と言って聞かない。適当に知らない外国作家の詩集を手に取り、
「じゃあこれで」
と言うと先輩は満足そうに財布を取り出した。
翌日先輩に会社で会うと、
「何も覚えていない」
と言われた。
その詩集はいまだに俺の部屋にある。