冗談のつもり

文字数 285文字

 義母の葬儀の前日、葬儀社が、弔意測定器を貸してくれた。
「明日の参列者の中に何人か怪しい人がいる」
 と相談したら
「それでは」
 と貸してくれたのだ。

 動作テストを兼ねて、自分の弔意を測定してみた。
 ピロピロ。間抜けな音だ。
 数値を見る。
 まぁ、義母だから、こんなものだろう。
 眠っている夫の弔意を測定してみる。
 ピロピロ。
 まぁ、実母だから、こんなものだろう。
 台所の隅で丸まっていた飼い猫に測定器を向ける。
 冗談のつもりだった。
 ピーッ、ピピピ。
 深刻そうな音がして、機械が止まってしまった。
 エラー。
 私は、この猫を飼う時、義母だけが反対していたことをふと思い出した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み