王国の夜

文字数 306文字

 かつて都市の下水道だった地下道を、黒衣をまとった猫たちが、蝋燭を掲げ持ち静かに歩いていく。
 地下道の両側には、どぶ鼠の石像がずらりと並んでいる。
 黒衣の猫たちは進む。
 石像の奥に、玉座が設置されている。
 玉座には威厳あるどぶ鼠が座っている。
 どぶ鼠は肘かけに肘をつき、じっと目を閉じている。
 黒衣の猫たちが玉座の前に到着する。
 黒衣の猫たちは跪く。
 どぶ鼠は動かない。
 一匹の老猫が歩み出て、深々と頭を下げ、おもむろにどぶ鼠の脈を計る。
 脈はとまっている。
 老猫がどぶ鼠の背中に回り、ファスナーを開ける。
 中から子猫の死骸が出てくる。
 老猫は手を挙げて合図を送る。
 黒衣の猫たちの中から、一匹の子猫が歩み出る。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み