死ぬまでずっと

文字数 282文字

 パン屋の主人がある日道端で、宇宙人を拾った。
 弱っていたので、連れて帰り、とりあえず食料を与えることにした。
 パン屋の厨房で何かないか探していると、宇宙人が、ピィッ、と鳴いた。
 見ると、宇宙人がメロンパンを指さしている。
「食べたいのか」と差し出すと、宇宙人は入り口を探し始めた。どうやらメロンパンをUFOと勘違いしているらしい。
「これは食べる物だよ」
 パン屋の主人がメロンパンをちぎると、宇宙人はびっくりしてひっくり返ってしまった。
「はっはっは」
 この出来事をパン屋の主人は、五十年後に死ぬまでずっと覚えていた。
 彼の葬式には、火星や木星からも弔問客が出席した。
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