ふれあいの時間

文字数 292文字

 その幼稚園にある独房には死刑囚がいる。
 歌の時間とお昼寝の時間以外は、鉄格子越しに子どもたちと死刑囚のふれあいが行われている。
 おままごと用の包丁で死刑囚を刺す真似をする子がいる。死刑囚は喜んで死んだふりをする。
 ブロックで処刑台を作って見せる子がいる。死刑囚は「そんなんじゃ死ねないな」と笑う。
 ある秋、「死刑囚の誕生日が近いので、皆で誕生日の歌を練習しましょう」と保育士が言った。園児たちは一所懸命歌の練習をした。死刑囚は涙ぐんでいた。
 しかし政府の気まぐれで、死刑囚は誕生日前に処刑されてしまった。
 子どもたちは残念がったが、すぐに「次の死刑囚はいつ来るの」と保育士に尋ねた。
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