「────ここはね昔、踏切だったのよ」
文字数 365文字
薄暗い、地下歩道に僕たちは来ていた。
高校の在った場所から二駅離れた、駅のすぐ横の地下歩道。
へぇ、と僕は相槌を打った。
天井を見上げて、カメラにも、薄汚れた天井が映る。
ヒメ先輩へカメラフォーカスが戻る。
ヒメ先輩は薄く微笑んでいた。
ヒメ先輩の言葉に僕は、わからないと答えた。
人身事故────僕は、ヒメ先輩の説明に息を飲んだ。
上り電車はまた一つ先の隣駅で長時間停車したって。
先輩は笑って、来た道を引き返した。