「行きましょうか」

文字数 420文字

 僕たちは高校の最寄り駅で降りること無く、更に乗り換えて単線に乗り継いだ。
 ヒメ先輩が下車したのは、最寄り駅から幾つか離れた無人駅……
や、改札には人がいるのだけれど日中だけで、一定時間が過ぎるといなくなってしまうのだ。
 ヒメ先輩は無言で歩き出した。僕も付いて行く。
 駅を出て、住宅街方面へ歩き出す。
コンビニを過ぎ、十字路を渡って、次の十字路は右に曲がり、再度直進。学校らしき建物を過ぎ、保育園を過ぎ、新たな十字路に着く。
運輸会社周辺に多いせいか、トラックがよく通り、砂っぽい風が舞っている。
 十字路は小学校の入り口と標識が在ったが、小学校に行く訳では無いようだ。左に折れて長い下り坂を行き始めた。
 途中登れる階段と橋を無視して坂を下り切ると、今度は右の坂道を上がり始める。
行きましょうか
 今まで黙っていたヒメ先輩が僕を振り返り言った。
上がる最中で坂の脇に森……と称するのか林、と呼ぶのが正しいのか、もしかすると山だろうか……の小道が見えた。
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登場人物紹介

ヒメ先輩。『A高校郷土史研究会』を掲げた奥の部屋にいつもいる女性。セーラー服を着ていて、一見普通の女生徒のようだが……?ただ歩くだけで怪異と遭遇する世請くんを見兼ねて、世話を焼いている。

世請くん。何をするでも無く、ただ歩くだけで怪異や事件に巻き添えを食らう男子高校生。ヒメ先輩曰く、世請くんの意志に関係無く自ら怪異に向かっているとのこと。本人に自覚は無く何なら不服ですら在る……が、実質ヒメ先輩に助けてもらっている現状から強く反論出来ない。

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