“絶対に秘密だよ”

文字数 471文字

“絶対に秘密だよ”
 ヒメ先輩は不思議な存在だった。
 学校にはいるし認知もされているけど、生徒じゃないっぽい。
 何だったら、人間ですら、無い。
『A高校郷土史研究会』と名の同好会が宛行わられた、二階突き当りの狭い部屋に住まう、超常的な存在。
 ヒメ先輩の“ヒメ”は、────『秘女(ひめ)』なのだと言う。
 いつから存在しているのか、自身にも不明だそうだ。
“もう、大丈夫だから”
“おかえりなさい”
 俺は巻き添えを食らっていた間の記憶が無かったけども、どうも大事なことも忘れてしまった気がする……
も、ポケットに在った自分のスマートフォンに在った通知の山に、瞬時に掻き消された。
 俺が消えたあと、ヒメ先輩は石段へ腰を下ろし、携帯端末を撫でていた。
 無事に学校へ戻れた俺は、落ち葉の敷き詰められた土の上に寝転がっていたために、泥と葉っぱに塗れていて担任から事件へ巻き込まれたのではないかと心配された。
……補習は後日になった。
 それから。
にゃー……ん……
 A高校郷土史研究会の部屋には、時折どこからかやって来た斑猫が、出入りするようになった。
   【 了 】
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登場人物紹介

ヒメ先輩。『A高校郷土史研究会』を掲げた奥の部屋にいつもいる女性。セーラー服を着ていて、一見普通の女生徒のようだが……?ただ歩くだけで怪異と遭遇する世請くんを見兼ねて、世話を焼いている。

世請くん。何をするでも無く、ただ歩くだけで怪異や事件に巻き添えを食らう男子高校生。ヒメ先輩曰く、世請くんの意志に関係無く自ら怪異に向かっているとのこと。本人に自覚は無く何なら不服ですら在る……が、実質ヒメ先輩に助けてもらっている現状から強く反論出来ない。

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