僕はノブを握り回す。

文字数 222文字

   【 いつも歩けば怪異に当たる ──『当たり屋』少年の“受難” 】
 大きな校舎の二階、真っ直ぐ廊下の突き当り。
部屋は在った。
()はノブを握り回す。
ぎぃいっと、古い戸は音を立て、開いた。
……あら、
 部屋の奥、扉と向かい合うみたいにヒメ先輩は立っていた。窓へ腰を付けて寄り掛かって。
 僕を見止めて、本を閉じる。にぃっと笑って。
いらっしゃい……
“A高校郷土史研究会”へ
 さらりと流れる黒髪を揺らし、肩へ零れ落ちた幾房を後ろに掻き上げ流した。
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登場人物紹介

ヒメ先輩。『A高校郷土史研究会』を掲げた奥の部屋にいつもいる女性。セーラー服を着ていて、一見普通の女生徒のようだが……?ただ歩くだけで怪異と遭遇する世請くんを見兼ねて、世話を焼いている。

世請くん。何をするでも無く、ただ歩くだけで怪異や事件に巻き添えを食らう男子高校生。ヒメ先輩曰く、世請くんの意志に関係無く自ら怪異に向かっているとのこと。本人に自覚は無く何なら不服ですら在る……が、実質ヒメ先輩に助けてもらっている現状から強く反論出来ない。

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