俺は冷や汗を掻く。
文字数 378文字
おかえりなさい。
最期まで、身を擲 ってまで人を愛したあなたを、あなたを愛する人が待っているわ。
ヒメ先輩が告げた。僕を抱くヒメ先輩が、全体的に光を帯びる。
あたたかい。僕は目を閉じる。
この途端。
“────、────!”
“────っ”
“────!”
“────”
僕を呼ぶ声がして、僕はまた、目を開けた。
気が付くと、ヒメ先輩が俺 を見下ろしていた。
寝ていた身を起こして辺りを見渡せば、鬱蒼と茂る森の中────いや、山?
後ろを見返れば小さい社。
俺が、ぽかーんと周囲を見回していれば、ヒメ先輩が深い深い溜め息を吐いた。
呆れた様子のヒメ先輩に、俺は冷や汗を掻く。
ど豪 い目に……言い掛けた俺へ、先輩が何かを寄越す。