ヒメ先輩は先程より深く溜息を吐いた。

文字数 261文字

……まったく。高座(たかくら)くんと言い、仕方無いわねぇ
 ヒメ先輩は先程より深く溜息を吐いた。明らかに嘆息だと言うように。
 高座は同じクラスの友人で、好奇心のまま動く厄介な性質が在った。
特に謎と言うのも弱く、殊、オカルト方面への食い付きは半端無い。本日この場にいない。
……。わかったわ
活動記録、撮ってて良いわよ
 え、良いんですか、と僕が尋ねるとヒメ先輩は
ええ
と肯定した。
“絶対に秘密だよ”
 ああ言っていたのは、何だったのだろうか。
 ヒメ先輩は
じゃ、
フィールドワーク、行くわよ
と撮影する手を止めない僕を、学校から連れ出した。
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登場人物紹介

ヒメ先輩。『A高校郷土史研究会』を掲げた奥の部屋にいつもいる女性。セーラー服を着ていて、一見普通の女生徒のようだが……?ただ歩くだけで怪異と遭遇する世請くんを見兼ねて、世話を焼いている。

世請くん。何をするでも無く、ただ歩くだけで怪異や事件に巻き添えを食らう男子高校生。ヒメ先輩曰く、世請くんの意志に関係無く自ら怪異に向かっているとのこと。本人に自覚は無く何なら不服ですら在る……が、実質ヒメ先輩に助けてもらっている現状から強く反論出来ない。

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