お家に帰してください。
文字数 533文字
“もうみんな帰って来られないんだよ……私と、いっしょに行こう”
お父さんのお母さんと言う人が、連れて帰ってくれたけど。
“あら……どうして、猫が? 息子が連れて帰って来たのかしら?”
その人は、すぐに僕が、わからなくなってしまった。
その人が勝手に家を出てしまうから、僕は追い駆けて。
最期に見たのは。
お父さんのお母さんが持っていた、お父さんの携帯端末。
中の写真や動画には僕やお父さんやお母さん、お姉ちゃんが写ってたから、自分のだって勘違いしてたのかな。
が、お父さんのお母さんが、びっくりして倒れたときに道の端へ転がって行ったのと。
首の捻じれた僕から出て、地面に拡がり染みる、血。
僕を轢いた人は、お父さんのお母さんへ駆け寄った。お父さんのお母さんは、大丈夫だったみたい。
次いで、轢いた僕を見て、哀しそうにしてた。
────ごめんなさい。
ごめんなさい。
どうしても、お父さんのお母さんは、助けたかったの。
僕が足止めになれば良いって。
ごめんなさい。嫌な気持ちにさせて。
“やだ、野良よ!”
でも僕もう『野良』じゃないから。
お父さんのお母さんを助けてください。
お家に帰してください。
ごめんなさい。
……ああ、コレは、神社 の前の、道路で起きたのか。