……森とか林より山が正解だったようだ。

文字数 475文字

 入り口には看板が立っている。神々しいと言うのか、仰々しいと言うのか、看板の名前は神社っぽい。
覗き込めば、少し上のほうに鳥居が見えた。社はだいぶ上方なのか生い茂る木々も相俟って見えない。
 町の鎮守様、と言うのだろうか。だったらもう少し整備して良いと思う。
だって、上る始めのほうなんて大きな石を積んだだけなのだ。なぜか少し上がったところからは、ちゃんと石段が土に埋め込まれるみたいに設置されているのに。
……森とか林より山が正解だったようだ。
 ヒメ先輩は、軽やかな足取りで階段と言い難い、最早山道を登り始めた。セーラー服仕様の制服で、スカートもミニと言う程の長さでは無いのに。
 階段は、上り始めの段を越え鳥居を潜って以降、しばしゆるやかで登り終える手前くらいで再び急になり。
登り終えると小さな社が在った。
 小さな社は、道を見て想像していたより、きれいだった。……。
 僕は。
 胸がざわりとする、不快感を覚えた。僕は何だか息がしづらく感じて、首元を触った。
……
首が気になる?
 ヒメ先輩が質す。頻りに首を触る僕を
────それで、
ひたと見据えて。
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登場人物紹介

ヒメ先輩。『A高校郷土史研究会』を掲げた奥の部屋にいつもいる女性。セーラー服を着ていて、一見普通の女生徒のようだが……?ただ歩くだけで怪異と遭遇する世請くんを見兼ねて、世話を焼いている。

世請くん。何をするでも無く、ただ歩くだけで怪異や事件に巻き添えを食らう男子高校生。ヒメ先輩曰く、世請くんの意志に関係無く自ら怪異に向かっているとのこと。本人に自覚は無く何なら不服ですら在る……が、実質ヒメ先輩に助けてもらっている現状から強く反論出来ない。

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