混ぜる混ぜる(5/22)

文字数 566文字

一人暮らしから二人暮らしになって
数多のことが変わったけれど
現在進行形で変わり続けていることがある
君は気付いていないかもしれないが
納豆をかき混ぜる回数が増えている
長い間、僕は五十回と決めていたのだけれど
目の前で
何度も粘り具合や糸の形状を確認しながら
少し笑みを浮かべる姿を見ていると
ついつい回数を伸ばしてしまう
混ぜれば混ぜるほど、自分の好みになることを知り
毎日が新記録だ
納豆に向き合う時は集中していて
僕の様子なんて気にしていないと思うのだが
決して先に止まることはないから
案外と対抗しているのかもしれない
おそらく百回程度がちょうど良い回数なのかな
と個人的には思っているのだけれど
君に付き合って百回を超えても続ける
今日は混ぜすぎて回数も分からなくなった頃に
粘りつく白い糸が糸でなくなり
虹のような色彩を見たような気がする
そして、そのタイミングで食べてみると
百回程度の時よりもまろやかで深い味になっていて
ついにベストを掴んだ
回数ではなくて虹が見えるまで混ぜる
何でも数字で管理して
自分なりのルールを作ってルーティンにすることが
正しいとずっと思っていたけれど
数字ばかりではつまらない
一人暮らしから二人暮らしになって
数多のことが変わったけれど
納豆を混ぜる回数が大きく変わり
一番美味しい状態を掴んだ
二人暮らしを始めて良かった
君も虹を見ているのだろうか?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み