サメと泳ぐ(カリブ海のバハマ沖)2

文字数 864文字

 ダイビングの合間にはナイトロクス(酸素濃度を高めに調整したエア)を使うための講習を受けて、試験にパス。

 おまけでついてきたのがシャーク・ダイブだった。
 このポイントは、昔はブルシャーク(オオジロザメ)やタイガーシャーク(イタチザメ。ホホジロザメに続いて危険な「人食いザメ」とされる)がよく出たそうだが、最近はどこでもよく見かけるリーフシャークやホワイトチップが多いらしい。
 ダイブマスターが参加者を確認し、二名が参加を拒否。
 参加するダイバーは、先に海に入って底まで潜り、下の砂地で姿勢を低くして待つよう指示される。
 海底に腹ばいになって待っていると、すでにサメたちが周辺に集まり始めている。
 船からバケツで魚のあらとかをまいてるようだ。
 そしてダイブマスターが、大きな魚のぶつ切りをつけたサメ寄せの道具をもって降りてくる。彼はこれを「スシ」と呼んでいた。
 血の臭いに興奮したサメたちがすごい勢いで突っ込んできて、エサをむさぼる。
 リーフシャークなど普段から見慣れているダイバーたちも、血に興奮したやつらが至近距離で飛び回るのを見るのは初めて。結構なアドレナリン・ラッシュで、みなエアの消費量が急上昇。
 餌がなくなった後も、サメたちはあたりを徘徊している。
 その中の近くに寄ってきた一匹と、お互い見つめ合いながら(?)しばらくいっしょに泳ぐことができた。
 しかし、サメとはお互いに目と目があっても、コミュニケーションが成立したような気がしない。単に「なんだか動いている、たぶんエサではないらしいもの」としてしか、こちらを見てくれていない気がする。
 ところでこのポイントには「オスカー」と愛称のついた名物魚(大きなハタ)がいる。ダイバーたちを見ると、その中から一人、お気に入りを決めて後をついてまわるらしい。
 この時も噂のオスカー君(体調60センチくらい)が現れ、私の隣に陣どっていたドイツ人の長老ダイバーの頭の上に浮いて、一緒にサメ見物をしていた。
 魚の中にも時々こういうふうに、妙に愛着のわくパーソナリティをもったのがいる。
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