イルカと泳ぐ(カリブ海のビミニ島)3
文字数 736文字
海はとにかく広い。
そこでは、生き物との出会いはすべて海しだい。
人間の側でいくら「この生き物が見たい」と思っても、海が会わせてくれるのでなければ、お目通りはかなわない。
以前、メキシコのラパスでダイビングをした時、同じボートにオーストリア人のビジネスマンが乗っていた。
彼はひたすらマンタに憧れて、中南米から中近東まであちこちの海を回ってきた。しかし「マンタが見られるというポイントで100本以上潜っているのに、まだ1度も見たことがないんだ」と嘆いていた。
マンタ(オニイトマキエイ)は、体長5メートル以上にもなる大型のエイで、水の中をゆったりと飛ぶように泳ぐ姿が優雅で美しい。
生息している水域に行けばわりとよく見ることができ、日本なら石垣島が有名だ。ラパス沖の海も、マンタが多いことで知られている。
しかしビジネスマン氏が船に乗っていた3日間、マンタたちの姿はまったく見られなかった。
「いつもここにいるのになあ」と、おきまりのポイントでも姿が見られないことに、ダイブマスターも首をかしげていた。
最後のダイブを終え、船の上で昼食のブリートを食べながら、ビジネスマン氏はあきらめきっていた。「今回もだめだったなあ。次はヤップにでもいくしかない」。
食事を終えた彼は「ちょっと腹ごなしにシュノーケリングしてくる」と水に飛び込んだ。
と、これまで一度も姿を見せなかったマンタが、それも5メートルはありそうな大きなやつが、彼が浮いているその真下を泳いでいった。ゆうゆうと、まるで挨拶でもするように。
オーストリア人は日本人と同様、感情表現が控えめなので、アメリカ人とかならしたであろう大騒ぎはしなかった。しかし水から上がった彼の顔は、喜びでゆるゆるにゆるみまくっていた。
そこでは、生き物との出会いはすべて海しだい。
人間の側でいくら「この生き物が見たい」と思っても、海が会わせてくれるのでなければ、お目通りはかなわない。
以前、メキシコのラパスでダイビングをした時、同じボートにオーストリア人のビジネスマンが乗っていた。
彼はひたすらマンタに憧れて、中南米から中近東まであちこちの海を回ってきた。しかし「マンタが見られるというポイントで100本以上潜っているのに、まだ1度も見たことがないんだ」と嘆いていた。
マンタ(オニイトマキエイ)は、体長5メートル以上にもなる大型のエイで、水の中をゆったりと飛ぶように泳ぐ姿が優雅で美しい。
生息している水域に行けばわりとよく見ることができ、日本なら石垣島が有名だ。ラパス沖の海も、マンタが多いことで知られている。
しかしビジネスマン氏が船に乗っていた3日間、マンタたちの姿はまったく見られなかった。
「いつもここにいるのになあ」と、おきまりのポイントでも姿が見られないことに、ダイブマスターも首をかしげていた。
最後のダイブを終え、船の上で昼食のブリートを食べながら、ビジネスマン氏はあきらめきっていた。「今回もだめだったなあ。次はヤップにでもいくしかない」。
食事を終えた彼は「ちょっと腹ごなしにシュノーケリングしてくる」と水に飛び込んだ。
と、これまで一度も姿を見せなかったマンタが、それも5メートルはありそうな大きなやつが、彼が浮いているその真下を泳いでいった。ゆうゆうと、まるで挨拶でもするように。
オーストリア人は日本人と同様、感情表現が控えめなので、アメリカ人とかならしたであろう大騒ぎはしなかった。しかし水から上がった彼の顔は、喜びでゆるゆるにゆるみまくっていた。
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