第12話 父との会話 Chat with Dad
文字数 820文字
さて、話を元に戻そう。私が未来を少し知っているかも知れないという話である。何故、小学校6年生の頃の事を思い出したかというと、父から 「週休4日が地球を救う2020!」 を執筆すると聞いたためである。秋の連休に実家へ帰った時の事だ。
「おとう、ただいま。帰ってきてあげたよ。淋しかったか?」
「なんだよ、由理奈、帰ってきてあげた、はないだろう(笑)。ま、おまえがいなくて淋しかったけどな」
父は、出回り始めた柿を食べながら振り返って言った。
「今日はおとうしかいないの? お姉ちゃんは?」
「どこ行ったんだか・・・。多分、大学へ行って、学祭の準備で唄の練習してるんじゃないか?」
姉の真理奈は大学でアカペラを歌うサークルに入っている。今年は3年生で、引退前最後の学祭だからと気合いが入っているそうだ。これまで何回か公演を観に行ったが、結構上手い。学祭が終われば3年生は就活が始まるため、今回の公演で引退になる。
「ふうん、そうか。いつ帰ってくるのかなあ・・・。お母さんは?」
「今日は仕事だよ。帰ってくるのは夜になるんじゃないか」
「じゃあ、何でおとうは家にいるんだよ」
「何を言ってるんだ、家じゃないよ、本社だよ」
「本社? ああ、おとうの会社の」
「そうだよ」
父は、大手企業を60歳定年になるより2年早く卒業してから、自分の会社を立ち上げた。都心とかにオフィスを借りるような業容ではなく、自宅2階の一室を使って仕事をしている。そこを“本社”と呼んでいるのだ。実際、登記上も会社の住所は自宅と同じだ。因みに父の会社は本社だけである。そして、社員も父だけである。
父のような働き方だと、職住接近のため色々と融通がきくらしい。一日のうち、好きな時に自宅と“本社”を行き来して、洗濯などの家事と資料作成などの仕事を両立できるらしい。ただ、“本社”勤務の日はあまり多くはなく、大抵は外に出ている。収入はそれほどではないようだ。
「おとう、ただいま。帰ってきてあげたよ。淋しかったか?」
「なんだよ、由理奈、帰ってきてあげた、はないだろう(笑)。ま、おまえがいなくて淋しかったけどな」
父は、出回り始めた柿を食べながら振り返って言った。
「今日はおとうしかいないの? お姉ちゃんは?」
「どこ行ったんだか・・・。多分、大学へ行って、学祭の準備で唄の練習してるんじゃないか?」
姉の真理奈は大学でアカペラを歌うサークルに入っている。今年は3年生で、引退前最後の学祭だからと気合いが入っているそうだ。これまで何回か公演を観に行ったが、結構上手い。学祭が終われば3年生は就活が始まるため、今回の公演で引退になる。
「ふうん、そうか。いつ帰ってくるのかなあ・・・。お母さんは?」
「今日は仕事だよ。帰ってくるのは夜になるんじゃないか」
「じゃあ、何でおとうは家にいるんだよ」
「何を言ってるんだ、家じゃないよ、本社だよ」
「本社? ああ、おとうの会社の」
「そうだよ」
父は、大手企業を60歳定年になるより2年早く卒業してから、自分の会社を立ち上げた。都心とかにオフィスを借りるような業容ではなく、自宅2階の一室を使って仕事をしている。そこを“本社”と呼んでいるのだ。実際、登記上も会社の住所は自宅と同じだ。因みに父の会社は本社だけである。そして、社員も父だけである。
父のような働き方だと、職住接近のため色々と融通がきくらしい。一日のうち、好きな時に自宅と“本社”を行き来して、洗濯などの家事と資料作成などの仕事を両立できるらしい。ただ、“本社”勤務の日はあまり多くはなく、大抵は外に出ている。収入はそれほどではないようだ。