「プリザーブドフラワー」

文字数 1,244文字

亜珠貴(あずき)様作

【あらすじ引用】
橘青花(たちばなはるか)は病気を患っていたが現時点で特効薬及び治療法はなく、長くても3年も生きられないと余命宣告をされており、特効薬は数年で完成すると言われていた。
恋人である望月颯太(もちづきそうた)と生きたいと願う青花は――

物語は2人が高校1年生、付き合い出す頃の話から始まります。

【物語は】
17年待ち続けた相手が目を覚ますところから始まる。しかし、主人公は17年という月日の前に立ち尽くす。一体何があったのいうのだろうか。それについては徐々に明らかになっていくに違いない。
本編に入ると、18年前へ時は遡る。

【登場人物の魅力】
この物語は、両サイドから展開されていく。
はじめは颯太サイド。彼から語られていくのは、ある出来事をきっかけに青花を意識するようになるという事。彼らの出会いのきっかけは、颯太が青花を救ったことにある。それは後に物語の中で詳しく語られる。

颯太は多様性に関して、偏見を持たないタイプの人間であると思われる。なので、青花がフィギュアを集めていても、”オタク”などと思ったりすることもないし、仮に好きなタイプが男性だったとしても、嫌な感情を持つようなこともない。悪戯をするようなユーモアを持つ一面もあり、それが結果として二人の関係を変えていくこととなる。恋愛においては、慎重な面も情熱的な面も持ち合わせている。

それに対し、青花は秘密を抱えている。あることがきっかけでイジメに遭う。最終的にそれがエスカレートし、颯太と出逢うきっかけとなっている。その為良いのか悪いのか判断し辛いが、ある意味それは運命だったのかも知れない。

【物語の魅力】
この物語はあらすじにもある通り、長く生きられない少年が、愛する人と一緒に生きたいと願った結果から、始まっていくのではないか?
本編が始まると青花が決断を下すまでの道のりが、描かれていく。段々と心の距離を詰め、互いがかけがえのない存在になっていく様子が語られる。自分が病を抱えていることも、数年の命であることも言えないまま。
だがある日、颯太はそのことを知ってしまう。この物語は、愛の深さに焦点があてられていると思われる。

【物語の見どころと、その後の予想について】
この物語はクライマックスから始まり、そこまでの物語が描かれている。二人がどのように出逢い、恋人同士になったのか。そして自分の病とどう向き合い、どう決断したのか。冒頭の空白の17年が描かれているのだ。
何らかの理由で17年眠ったままの恋人。それが本人の意志だったとしても、17年という月日は人の姿を変え、差を産んでしまうのではないだろうか。それを恐れたからこそ、恋人に近づくことの出来なかった颯太。

決断をしたその後まで拝読させていただきました。
ラストを想像するのはとても難しい。しかし物語の中で確かに二人の間には、深い愛情を感じた。きっと冒頭のその先には幸せが待っているのではないかと想像します。

是非あなたもお手に取られてみませんか?
おススメです。



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